こころが織りなすファンタジー 安房直子の領域 [文学 日本 安房直子]
こころが織りなすファンタジー―安房直子の領域 (てらいんくの評論)
- 作者: 藤澤 成光
- 出版社/メーカー: てらいんく
- 発売日: 2004/06/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
読めば読むほど、はまっていく安房直子の作品。
その秘密はどこにあるのか、と思い、この『こころが織りなすファンタジー 安房直子の領域』を図書館で借りて読んだ。文字がびっしり詰まっており、全作品から様々な観点でデータを収集し論じている。
この本を読んで感じた、安房直子作品の魅力は、
①人間の持つ悪、人間が避けざるを得ない死、というものにしっかりと目を向けながらも、それをふんわりと描いている点
②誰もが対等ではなく、生き物すべてに、それぞれの行き方があるということをしっかりと描いている点
③その世界観が最終的に「やさしい」という点に集約される点
私の好きな作家、小川洋子、安房直子の両者に共通する点は、結局メイン・ストリームから外れた存在に対して、そのことを肯定しつつ暖かい眼差しを向ける点。
道徳的に悪い、と捉えられることに対して「悪い」と糾弾することなく、人間の持つ本性としてしっかりと描ききっている点。
なかなか簡単に書けないが、私以外にも安房直子の世界に完全にはまってしまっている人がたくさんいることがわかった。
よくここまで分析しているなあ、と感心させられる本だった。
2021-05-24 04:57
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