かわいそうだね [文学 日本 綿矢りさ]
綿矢りさの中編作品2作が載った文庫『かわいそうだね』を読み終わった。
①「かわいそうだね」
②「亜美ちゃんは美人」
①は、アメリカ育ちの帰国子女の彼に、「元カノが住むところがなくて“かわいそうだから”次の仕事が見つかるまでの間、自分の家に泊めてあげて良いか」と言われ、ひたすら悩む主人公樹里恵の心理を描いた作品。
相変わらず綿矢りさの人物が人物を見る描写がとても面白く、人が人を見るときに感じる思いって確かにこんな感じだよなぁとニヤニヤしながら読んだ。
綿矢りさの作品は、なにか困難な状況に陥り、その状況にいろいろと悩み少しずつ行動しながら、最後は決定的な行動に打って出てスッキリ終わるというタイプの作品が多く読後感はとても良い。どこにでもいそうな人物の心情を細やかに描いていて本当に面白い。
②は美人の女の子と友達の女の子の視点で描いた作品。嫉妬の感情を持ちながらも、高校大学社会人と友人関係で居続ける主人公「さかき」。彼女の心の成長を描いた作品でこちらもとても面白い。どちらも読み応えのある素晴らしい作品だった。
2021-08-31 17:39
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