ヤービの深い秋 [文学 日本 梨木香歩]
梨木香歩著、ヤービ・シリーズの第二作『ヤービの深い秋』を読み終わった。
1年以上空けての第二巻だったので、登場人物たちの細かいエピソードを忘れてしまっていたので、一巻でのエピソードを踏まえての話だと少しわからない部分があったりした。
第一巻がかなり面白かった思い出がありもっとスラスラ読めると思っていたのだが、何となくまったりした感じで進みがゆったりで、結構読み進めるのに時間がかかったが最後の方は息に読めた。
前巻は、自然破壊と人間の身勝手さがテーマだったように覚えているが、今回はもう少し内面的なことがテーマになっている気がする。
自然に目と耳と心を向けることの大切さを伝えているのはもちろんのこと、言葉を使うことの大切さ、真摯な言葉を発することが生活する力につながり、地力が養われることにもつながるということも伝えている。そしてなにより過去と向き合うことで今の生きる力につながることを、ファンタジーを織り交ぜながら伝えているのがとてもよかった。
断片的にみえた様々なエピソードが最後はつながっていき大団円を迎える。何とも言えない暖かい気持ちに最後は包まれて終わる。
圧倒的なおもしろさではないが、じわじわっと来る面白さがある。とっつきやすいスタイルの作品ではないが最後は、色々と考えさせられどこか暖かい気分にさせてくれる作家だと思う。
良作だと思う。忘れないうちに続巻が出て欲しい。
2021-09-05 10:17
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