旅猫リポート [文学 日本 有川浩]
普段ご飯をあげていた野良猫が、車に轢かれてしまったことをきっかけに、その猫を飼うことになった悟。5年間一緒に暮らしたがあることをきっかけに一緒に住めなくなる。その愛猫を引き取ってくれる人を探す旅を、猫の視点と引き取る予定の人たちの視点で順々に描いた作品。
悟の小学校、中学校、高校、大学と彼の生い立ちを追いながら旅を続けるあたりがとても構成としてうまくできているなあと思う。かなり長い旅路でしかも車で旅をするので、お金と時間がかなりかかるであろうに、30前後の若い独身男性が大丈夫なのか?と思いながら読み進めるのだが、そういった読者の疑問も最後に回収するあたり、素晴らしい作品だ。
レビューなどを見ると「最後は涙が止まらなかった」「最後は涙が流れっぱなしだった」などとあるが、本当にその通りの作品だ。猫好きであれば一つひとつの描写も「あるある」と思って読めるし、最後は本当に感動的だ。
題名からは想像できないくらい美しく素晴らしい作品だ。逆境にありながら素直に心優しく成長する人間を描かせたらこの人に右に出る人はいないのではと思ってしまう。本当に素晴らしい作品だった。
2021-09-09 04:56
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