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おさないともだちに [文学 日本 立原えりか]


おさないともだちに

おさないともだちに

  • 作者: 立原えりか
  • 出版社/メーカー: 株式会社 青土社
  • 発売日: 2012/10/10
  • メディア: オンデマンド (ペーパーバック)



青土社から出版されていた『立原えりかのファンタジーランド』という絶版の本を、アマゾンがペーパーバック化して売ってくれているものを購入した。全16巻なのだが、何故か14巻しか売り出されていない。

これは幼い子供向けの書かれた作品を集めたもの。

1. ゾウのおふとん
動物園で迷子になってしまった女の子を、たくさんの動物たちが自分のこどもにしようとする話。最後はゾウのこどもに助けられ無事お母さんのもとへ。家族から引き離されて動物園に連れてこられた動物たちの悲しさを裏に込めていると思われる愛おしい話。

2. 森のこうもりがさや
森に白いこうもりがさやが出来、いろんな動物たちが自分たちの願うことを叶えられる話。月曜日から土曜日まで代わる代わる動物たちがやってくる構成も素敵。

3. こたえはひとつだけ
妹が生まれたことによって自分への愛情が薄まってしまったことに嘆き、「妹なんかいなくなればいい」と願ってしまったことで大変なことになる女の子を描いた作品。上の子たちはかなり共感を持って読めるのではないだろか。

4. 古いシラカバの木
林の奥深くにあって、人々が迷わないように道案内してくれるシラカバの話。伝統が受け継がれている話でもあり、短いが心があったかくなる話。

5. おかあさんのかみ
すご~く長い髪を持つお母さんは、朝起きるといつも髪をまとめてしまっている。まとめていないときはどれだけ長いのかを確かめたくて早起きする女の子の話。これも心がほっこりする。

6. 一等になってみたいな
運動会のかけっこで一位になりたい女のコがくまの手を借りて一等賞を取る話。必死でやることの大切さを訴える話。若干「泣いた赤鬼」に通じるものがある。

7. ライオンららら
この作品集の白眉。原作はアンパンマンの作者やなせたかしが絵を描いている。ジャングルから抜け出したライオンと女の子の心暖まる心の交流を描いた作品。

8. おいしいカップケーキのつくりかた
おそらく母子家庭のさみしい思いをしている女の子の話。うさぎのぬいぐるみが話せるようになったことで心を明るくする話。これも良い話だ。

9. ゆりくまさん
「ライオンららら」と並ぶ傑作。ドン・フリーマンの『くまのコーデュロイ』に似た話。デパートで売られていたクマのぬいぐるみと、女の子の素敵な話。若干『くるみ割り人形』の世界観も入り込んでいる。

10. まほうつかいのまごむすめ
これも恐らく母子家庭の話。魔法はいつかとける。それがとけてしまった時に耐えられる力をどうつけるか、いろいろなことが込められた深い物語。いつ、どういった形で別れがやってくるのか、ドキドキしながら読みすすめてしまった。

11. 雪がふる
絵本『スノーマン』に近い世界観。大人になって忘れてしまった子供心を呼び覚ます素敵な話。

心暖まる話が多かった。
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