妖精たち [文学 日本 立原えりか]
1. 町でさいごの妖精をみたおまわりさんのはなし
2. 妖精に飼われていたいもむし
3. 妖精たちの氷菓子
4. 妖精たち
全ての作品が、人間界にあって、妖精に選ばれて妖精の姿が見えるようになった人間と妖精のふれあいの話。
1は、公園を見回っているあいだに妖精に話しかけられたおまわりさんのはなし。人間の都市開発と自然破壊を裏のテーマにしている愛らしくも悲しい話。
2は妖精と子どもの触れ合いを主軸に話が進んでいく。最後にそのはなし自体が子どもたちに語りかけられている話という構造になっている「入れ子構造」の話。
3は人間の女の子と母親の心の交流に、妖精をかませることにより、深みを与えている作品。幻想的で美しい作品。
4は中編で結構長い。妖精に選ばれたことにより妖精を見ることが出来る少年マオの話。実はそのお父さんも同じ能力を与えられており、その能力があることによりお父さんには悲劇が訪れてしまう。妖精を見られるような心を持ち続けることが良いことなのか、現実的に生きることが良いことなのか、深く考えざるを得ないような結末。
「妖精」がテーマの作品集ということで幻想的で、頭のちょっと上あたりで物語が展開されているような印象。今まで読んだ立原えりか作品に比べ、個人的にはもう一歩な感じはあったが、それなりに楽しめた。
2022-01-10 07:30
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