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The Alexandria Quartet - Mountolive [文学 イギリス]


The Alexandria Quartet: Justine, Balthazar, Mountolive, Clea

The Alexandria Quartet: Justine, Balthazar, Mountolive, Clea

  • 作者: Durrell, Lawrence
  • 出版社/メーカー: Faber & Faber
  • 発売日: 2012/02/16
  • メディア: ペーパーバック



第三作目:Mountolive
第一巻、第二巻は、基本一人称小説だが、この第三巻は完全に三人称小説。客観的視点で、しかもある程度時間通りに物語が語られていくので、非常に読みやすい。

前半は、Alexandriaにやってきたイギリスの外交官Mountoliveと、NessimとNarouzの母親Leilaの不倫の恋が丁寧に描かれていて非常に面白い。MountoliveがAlexandriaを離れた後、Leilaは病気にかかってしまい、顔が変形してしまいその後ベールをかぶり真っ黒な服を来て部屋に閉じこもるようになる。その後のMountoliveとLeilaの手紙によるプラトニックな関係も非常に読み応えがある。

このままこの二人の恋愛話でこの巻は終わるのかと思いきや、Nessimが中心人物となる政治結社の話に移行していき、その活動をうまくいかせるために、ユダヤ人であるJustineと結婚したことが語られ、Narouzも宗教的なカリスマへとなっていく様子が描かれる。

この巻で、第一巻、第二巻の、スマートで温厚なNessim, まさに女性性を前面に出した官能的なJustine, 顔や体に変形を持つ純真な青年Narouzのイメージがことごとく覆される。

ひとつよくわからないのは、ある医者が祭りで出会ったベールをかぶった美しい手をした女性に恋をしてその人を探す挿話。結局その女性は、顔に鼻がなく、その鼻を手術による治そうと懸命に努力する医者を描いたものなのだが、全体の話の中でどのように位置づけられのか、その後その女性は手術を受け綺麗な鼻を手に入れられたのか、などが全くその後の話で出てこない。もしかしたら最終巻Cleaで登場するのかもしれないが。

とにかく、物語はどんどんと広がり展開していく。とても面白い作品。最終巻も一気に読み切りたい。
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