かがみの孤城 下 [文学 日本 辻村深月]
下巻に入って一気に物語は動き始める。色々な事情で学校に行けていない男女7人が、それぞれの思いを持って前向きに進んでいこうとする。それぞれの持っている辛い状況が明かされていく場面は圧巻だった。そして皆が「かがみの孤城」を去る最後の場面も涙が出そうになる。種明かしの部分があまりに悲しくあまりに感動的だ。
さらにエピローグも爽やかで美しい。今までの辛く長い物語をとても綺麗にまとめている。
印象的な箇所を紹介したい。
pp.113~114
「言葉が通じないのはー、子どもだからとか、大人だからとか関係ないのだ。
あの手紙を読んで、こころは相手に言葉が通じないことを圧倒的に思い知った。だけどそれは、あの子に限ったことじゃない。~中略~伊田先生の中ではそう言われることこそがお門違いでピンとこないのだ。自分がやったことを正しいと信じて、疑っていない。」
多くの人間が、自分が正しいと思っていて自分の正しさを疑っていない。一般的な社会人ならまだ良いのかもしれない。しかし子供を相手にした教師、特に繊細の子供と接する教員はそうではあってはならないと思うのだ。しかし責任ある地位に立つ~先生始め、多くの教員が自分の正しさを疑っていない。そういった教師たちが少しでも自分の正しさに自分の言動に疑問を持って反省する機会をもてたらもう少し学校は変わっていくのになあ、と思ったりする。
本屋大賞に選ばれるのもわかるし、多くの人が子供に勧めたい気持ちもわかる、素晴らしい小説だった。
2022-04-17 15:23
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