スロウハイツの神様 下 [文学 日本 辻村深月]
微妙なバランスを保ちながら楽しくやっていたスロウハイツに住む人々の日常が段々と動き出す。住人の中に一人犯人がいる、といったようなミステリー要素や様々な恋愛模様、心の葛藤、心の成長などが描かれ、一気に読み終わった。特に今までの様々な人々の何気ない言葉が回収されていく最終章「二十代の千代田公輝は死にたかった」は圧巻。涙が出そうになった。
主人公二人の想いが重なりそうで重ならず、最後には・・・というラストも爽やかさがあってよかった。さらにもうひとつのカップルの最後がちょっと残念な感じだった。
多くの人が名作と言うこの作品。何故多くの人が好きなのかちょっとわかる気がした。
p.15
「ズルして手に入れた幸せは、長続きしたらいけないの。私はそんなの認めない」
p.257
「人間の行動の真意なんて、所詮は受け取る側の気持ち一つによる。そしてそれはきっと、どれもがどれもそれぞれに正しい。」
p.342
「それが叶う場合も、叶わない場合もある。けれどそれにより挫折し、諦め、折り合いをつけることは、嘘をついて手に入れた幸せや楽しみよりきっと価値がある。」
2022-05-12 04:31
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