おいでおいで [文学 日本 松谷みよ子]
戦争の実態を描いた本。どうやってこうした類の話を収集できたのかはわからないが、皆が口をつぐんで語ろうとしない、そしてあまり表に出てこない、戦争中アジアで日本人が何をしてきたのか、戦争中男たちが戦場に行ったあと女性たちが何を思い感じてきたのかを克明に描いた本。くだらない平和教育を行うなら、この本を読ませたほうがはるかに良い気がする。
01. 夢で帰ってきたとうちゃん
02. 空をゆく魂
03. 三度来た遺骨
04. おいでおいで
05. 海になげだされて
06. トラと泳いだ兵隊
07. 戦争にいったコックさん
08. 霜のふる夜
09. 死体橋
10. 生きていた兵隊
1,2は遠くにいるはずの夫の霊が家にやってきて自分が死んだことを知らせる話。3は自分の夫の死を受け入れられない妻の話。どれも妻視点描かれている。
4~は実際の戦場で行われたこと、行ったことが一人称で語られている。ユーモラスな作品もあるが基本的にはシリアス。特にアジア人を惨殺した話(霜のふる夜)、死体がおおすぎて手だけを焼いて持ち替えざるを得なかった話(おいでおいで)、南京大虐殺を描いていた話(死体橋)は真に迫っている名作。
10は戦後も戦争の後遺症に苦しむ(戦争で死んだ息子が生きているのではないか、という思いに苦しむ)女性の話。
本当に素晴らしい作品だと思うが、読んでいて結構辛い。
2022-06-07 05:56
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