赤い魚 [文学 日本 安房直子 あ行]
主人公の雪枝は小さな宿屋の娘。その宿屋で結婚式が開かれることになり、その時の食事のために、雪枝の父親は漁に出てとびきり美しい赤い魚を釣ってくる。
その夜雪枝は「助けて、助けて」と声が聞こえたような気がして、生簀(いけす)に行って、「あんたね、さっき声をあげたのは」と聞くと、雪枝をじっと見つめて、ぽろりと涙をこぼす。それを見て雪枝はその魚を逃がしてあげることに。
逃がしてあげる直前に
「今度また、会いましょう」「あんたは、私を助けてくれたから、今度は、こっちが、お返しをする番だ。あんたの願いを、三回だけ、かなえてあげよう」と言われる。
1つ目:美しい髪
2つ目:美しい目
この二つを手に入れた雪枝は、このあたりで一番裕福な網元のむすこと恋仲に。結婚が決まるが、身分違いの結婚に周りは大反対。
結婚式前夜、父親が
「あしたのおぜんに、朝焼け色の鯛をのせられたらなあ」
「あれは、めったに手にはいらない魚だ。それだけに、縁起の良い魚でなあ。あの魚を、婚前のおぜんにのせられた花嫁は、一生幸福に暮らせるという言い伝えがある」
これを聞いた雪枝は、赤い魚に最後の願いを言いに行く。赤い魚は願いを叶えバケツの中に入る。しかしその時、魚の魂が、どこかにとんだような気がする。そしてバケツの魚をすくい上げようとすると、何もつかむことができない。
ディズニー映画の「アラジン」もそうだし、色々な昔話もそうなのだが、3つ目の願いを結局人は自分勝手に願いすべてを台無しにしてしまう。人の欲望の深さを描いた作品。結構暗くてこわい物語。
2022-07-19 15:24
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0