オツベルと象 [文学 日本 宮沢賢治 あ行]
銀河鉄道の夜-宮沢賢治童話集3-(新装版) (講談社青い鳥文庫)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/01/16
- メディア: 新書
資本主義の、非人間的な側面を痛烈に批判した作品。
オツベル=強欲な資本主義者
象 =搾取される労働者
はじめは象に優しくしていたものの、甘い言葉で言い寄って段々と自分のやりやすい方向へ持っていき、さらに与えるご飯(給料)を徐々に減らしていく。オツベルはまさに、現代の億万長者たちの姿だし、醜い日本の政治家達そのものだ。いいことをいうが結局自分の私利私欲のことしか考えていない人々。こういう人たちが社会を作っているから、結局社会は良くならないし、環境問題も解決しない。世界の貧困問題を解決しない限り、環境問題は解決しない、というトマ・ピケティの言葉通りだ。
弱りきった象は仲間を呼び、仲間はオツベルの屋敷へ押し寄せる。オツベルは銃で対抗するが象たちにはきかない。結局仲間たちは象を助け出す。
労働者たちのストライキのようなものなのだろう。しかし現実はなかなかこうはいかない。
すっきりするエンディングなのだが、すっきりしない読後感だ。
2022-07-20 10:50
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