星になった子ねずみ [文学 日本 児童書]
手島悠介という「かぎばあさん」シリーズを書いた児童文学作家の作品。図書館でふと目にし借りてみた。
物語は、九州・鹿児島県の大日本帝国海軍「鹿屋海軍航空隊」の一室で始まる。この兵舎に住む神風特攻隊のパイロット千倉慎一少尉のもとに、ねずみのチッくんは毎日食べ物をもらいに来ている。この千倉慎一少尉には好きな人がいるが、自分が特攻隊でこれから死ぬ運命にあることを知っていたのでその思いを打ち明けないままこの兵舎に来ていた。しかし最後にその思いを伝えようと、宮沢賢治の『よだかの星』の文章を使って、「愛している」ということを伝える文章を作るが、結局送ることなく飛び立ってしまう。
そのメッセージの入った『よだかの星』を送られる予定だった青木夏津子さんに届けようと、ねずみのチッくんは、その本を背負い鹿児島から東京へと向かう。
大変な思いをして着いた日は、1945年3月9日。何とか青木夏津子さんを見つけ『よだかの星』を渡すことができたが、やってきたのは東京大空襲。
結構悲惨の物語だが、明るいチッくんに何となく救われる物語。最後の坊さんネズミの人間に向けたメッセージも素晴らしい。
2022-09-02 04:48
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