あとは切手を、一枚貼るだけ [文学 日本 小川洋子]
本屋で、違う本を探していたら偶然目に入り、自分が小川洋子Yearであり、文庫本だったこともあり、思わず買ってしまった。
堀江敏幸という名前の作家は聞いたことがあり、なんとなく浮遊感のあるつかみどころのない作品を書く人だ、という印象があり、結構小川洋子さんとの相性は良いのではと思い読み始めた。
形としては、
奇数章:小川洋子
偶数賞:堀江敏幸
となっており、往復書簡のような形となっている。しょっぱなから衝撃的で、女性である「私」は「まぶたをずっと、閉じたままでいることに決めた」らしい。それに対して、男声側の「ぼく」も目が見えなくなってしまったらしく、現在物事を見ることのできない二人が、過去を回想しながら様々な事象を語り合う。
全14章なのだが、二人の関係を明確に定められるような描写はなく、かつて二人は恋人同士で、一緒に暮らしたこともあるっぽく、よく船に乗っていたということくらいしかわからない。様々な本が取り上げられ、そこからいろいろな話題が展開される。
最後に二人の対談も収録されており、この作品が綿密な計画を練って作られた作品でないことがわかる。まさにそんな感じで、終始「どこに連れて行かれるのだろう」というモヤモヤした感じでずっと読まされることになった。最後のほうで、若干物語は劇的になるのだが、基本はモノローグであり、結構読みづらい。特に堀江側の偶数章は、結構きつい。
もういっかい読むと様々なものが見えてくるのだろうが、もういっかいじっくり読みたい作品ではない。
2022-11-27 14:24
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