あまんきみこと教科書作品を語らう [文学 日本 あまんきみこ]
本屋で、『車のいろは空のいろ』の新装版を見つけ、筆者に再び興味が惹かれ図書館で借りてみた。
彼女は小学校の教科書で多くの作品が取り上げているらしく、インタビュー形式で彼女自身が自分の作品を語っている。
私の好きな「きつねのおきゃくさま」「ちいちゃんのかげおくり」「おにたのぼうし」の三作品が取り上げられ語られていてとても良かった。彼女の優しい人柄がこんな簡単なインタビューでも垣間見えた。
p.49
「作品というのは読む人の人生で読むのですから、書いた私がこう思っている、というのが正解ではないと考えています」
この言葉は素晴らしいと思う。受験に出題された問題で、実際書いた筆者はそう考えていないのに、こんな問題出すのはおかしい、などと言う人がいるが、それもおかしいと思うのだ。問題作成者はそう読んだ、ということで、それはそれでしょうがない。問題作成者がそう読んだとおりに答えを設定するのはおかしいかもしれないが、すべてが筆者の意図通り読むとは限らない。
この本も一緒に借りて流し読み。
p.16
「旧満州は、日本の傀儡国家であったことを知らずに楽しい子供時代を過ごしていたことに対して、あまんは常に「恥ずかしい」と語っており、これはあまん作品を読み解くにあたって欠かせない視点である。あまんはよく、「光の中にいながらほんの少しでいいから、影のことを思って、欲しいと思っています」と言う。これは、あまんの子ども時代に対する後悔の念がにじみ出た言葉だと思われる。」
p.58
「私の幸せ、子ども時代の幸せ、楽しい思い出をいっぱいしましたけど、そこは中国の人を日陰においやったんだなあって、思う。~中略~でもそのために日陰にいた人たちのことを、今、思わないでいられない。ずーっとずーっと思わないでいられない。多分、これはね、死ぬまで折り合いがつかないと思う。自分の中で解決できない、辛い思い出です。」
こうした真摯さ、自分に対する厳しさが作品ににじみ出ているのだと思う。
もう一度しっかりと、彼女の作品を読みたいと思った。
2022-12-12 03:52
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