さんしょうっ子 [文学 日本 安房直子 さ行]
木の中に住んでいる「さんしょうっ子」。
彼女が住んでいる木が、ある日「じゃまっけだ」ということで切られそうになるが、すずなという娘のおかげで切られずに住む。
すずなは茶店の三太郎という男の子といつも遊んでいた。すずなと三太郎はさんしょうっ子が住む木の下でよくおままごとをして遊んでいた。
さんしょうっ子はお手玉が大好きで、すずながお手玉で遊んでいると、それを持っていってしまうことがよくあり、すずなはお母さんに「しようのない子だね、いくらつくってやってもなくすんだから。」といつも言われていた。
さんしょうっ子は時々、すずなと三太郎の前に姿を現して、三太郎の店でおだんごをもらったりしていた。
時は流れ、すずなも三太郎も大人になる。さんしょうっ子も大人になったのだが、木の精は大人になると人から姿が見えなくなってしまう。そのことにさんしょうっ子はまだ気がついていない。
そんなある日。すずなは見知らぬ人のお嫁に行くことに。相手はとなり村の大金持ち。一方三太郎は茶店を継いだものの、商売はうまくいかずどんどん貧乏に。すずなは嫁に行ってしまうし、商売はうまくいかないしで、気落ちしている三太郎を励まそうと、さんしょうっ子は彼に話しかけるが、すずなのことで頭がいっぱいの彼は気がつかない。
そんな三太郎に、昔こっそり持って行っていたお手玉をプレゼントする。これを福の神からのプレゼントだと思った三太郎とお母さんは、中に入っていたあずきで団子をこしらえ、これが大ヒット。店は大繁盛。
さんしょうっ子は、その後三太郎に会いにやってきて、話しかけるが、その声をすずなに似た声だと思う三太郎。悲しくなったさんしょうっ子は風に乗って行ってしまう。
さんしょうっ子はいなくなったサンショウの木は枯れてしまう。その枯れた木で、三太郎とお母さんはすりこぎを作る。
あまんきみこさんの「おにたのぼうし」や、浜田廣介の「泣いたあかおに」にも通じる、暖かくも少し悲しい美しい話。賞を取ったこともうなずけるかなりの名作。
2023-06-02 04:20
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