鳥にさらわれた娘 [文学 日本 安房直子 た行]
ある海沿いの村に、色の白いとてもきれいな女の子がいた。あまりにもきれいなので、村人たちはさらわれてしまわないか心配するほどだった。
ある日、この女の子がいなくなってしまった。色々と捜索するが見つからず、本当にさらわれてしまったのではとみんなが心配した。1週間ほど経って、この女の子は帰ってきた。
女の子によると、海辺で遊んでいると、鳥のシギに、「きれいなものをみせてあげるからついておいで」と言われ遠くまでついて行った、ということだった。シギは海からきれいな珠を持ち帰り、女の子にくれる。日に日にやせ細っていくシギ。いろいろなことが怖くなってきた女の子はシギがくれた色とりどりの珠を持って家に逃げ帰る。
家に逃げ帰った女の子は当然村中の話題になり、シギにさらわれたという話を信じる人と、人間にさらわれて何かされたのではないかと疑る人とがいて、結局彼女と家族は村八分状態になる。
貧乏になってしまって食べるのにも困った女の子は、シギがくれた色とりどりの珠で作った財布を撫でて、「シギさん助けて」と語りかける。すると、シギの絵が書かれた金貨が中に入っている。それをどこかに持って行ってお金に変えようと考え、バスで離れた町へ行く。色々と探し回った挙句なんとかお金に変えてくれる店を見つける。
その後何度か困ると同じようなことを繰り返し食いつなぐ。金貨を変えてくれる店のそばに靴屋があり、虹色の靴が売っている。この店の前を通るたびにその靴にみとれていたのだが、ある日この靴が欲しくてたまらなくなる。シギに頼むとくれる金貨が7枚手に入れば、その靴が買える、ということで、シギに連続で頼み金貨を手に入れる。それをいつもの店に持っていくと、お金に変えなくてもその金貨で買えると言われその靴を買いに行く。
買ってその靴を履くと、何故か足が消え鳥になっていく。いつもの店に戻って訳を聞くと、シギのお金でシギの作ったものを買うとシギになるのだと言われる。その店の主人はあのシギだったのだ。
二人は一緒に、仲間と合流し南の国へと向かう。
共同体の恐ろしさと純愛を描いた、少し長めの色々と考えさせられる作品。
2023-09-08 09:02
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