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ベンヤミン・アンソロジー [哲学書]


ベンヤミン・アンソロジー (河出文庫)

ベンヤミン・アンソロジー (河出文庫)

  • 作者: ヴァルター・ベンヤミン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/01/06
  • メディア: 文庫



河出書房から出ている、『ベンヤミン・アンソロジー』を読み終わった。河出書房から出ている本を買ったのは多分これが初めてだ。一緒に並んでいる本を見ると、結構良い本を出しているなあと感じた。

ベンヤミンはずっと気になる存在だった。ハンナ・アレントの『暗い時代の人々』でも言及されていたし、ブレヒト関連の本を読むと必ず出てくるし、アドルノとも関係があったらしいし。
そんななか、昨年末ある劇団の方と話しをしている時に、ベンヤミンの話になり、その時見せていただいた文章が全く理解できなかったので、ちゃんと読んでみなければ、と思い、ベンヤミンの本を探し、この河出文庫から出ている『ベンヤミン・アンソロジー』に行き着いた。
彼の主要な文章は大体収録しており、
1.言語一般について また人間の言語について
2.暴力の批判的検討
3.神学的・政治的断章
4.翻訳者の課題
5.カール・クラウス
6.類似性の理論
7.模倣の能力について
8.ボードレールにおけるいくつかのモティーフについて
9.技術的複製可能性の時代の芸術作品
10.歴史の概念について
以上だ。

1が一番まともに読めた。興味深い箇所としては「言語は自らに相応する精神的本質を伝達する。この精神的本質は言語において自己を伝達するのであって、言語を通じてではない。」「言語そのものが人間の精神的本質である」
旧約聖書の天地創造の場面を用いながら、言語こそが人間の精神的本質なのだ、ということを述べたものなのだが、彼の論理展開を説明するのは非常に難しい。

2も面白かったが、いまいちよくわからなかった。
基本的な問いは「暴力は正当な目的のための手段か、不当な目的のための手段か」ということである。実に細かく論じているのだが、これもなかなか難しい。戦争で用いられる暴力、ストライキで用いられる暴力などを検討したりしているのだが、これも簡単に要約できないくらい入り組んでいる。
面白かったのは、「暴力は法措定的であるとともに、法維持的だ」という部分だ。つまり、暴力は法によって正当化されているのだが、その法律を維持するために暴力がもちいられるということだ。なんか書いていてもわかったようだが、よく考えるとよくわからないような感じだ。結局は神が認めた暴力以外は許されない、という結論に達している(のだと思う)。結構キリスト教思想が強い人なのだなと2篇を読んで感じた。

かの有名な9もそれなりに納得しながら読めたのだが、結論はやはり?だ。
映画や写真の発達により、芸術が技術的に複製可能になったことにより、芸術作品がオーラを失ったというようなことが前半書いてある。芸術作品の礼拝価値と展示価値という視点も面白かった。古代の洞窟美術や、ヨーロッパのキリスト教美術の中には、一般大衆には見えないような状態になっている、つまり鑑賞されずともあるだけで価値がある、つまり礼拝価値があるものがあったが、最近は芸術はそのようなものではない。最近の芸術は展示可能性を飛躍的に拡大させているということだ。
一個一個の話はなんとなくわかるのだが、やはり全体としてはよくわからない。


正直、全体的にほとんど何が言いたいのかわからなかった。よく取り上げられる人物だけに若干残念だった。
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