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自由からの逃走 [哲学書]


自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版

  • 作者: 日高 六郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1965/12
  • メディア: 単行本



エーリッヒ・フロム著『自由からの逃走』を読んだ。大学時代、友人に借りてこの本を読もうとしたのだが、読んで数ページ目のところに書き込みがあり、読む気をなくしてしまいそれ以来ずっと読んでこなかった。私の卒論のテーマは彼とかなり重なる部分があったのだが、結局読んでいなかったので、私の参考文献ともならなかった。

1ヶ月前、職場の先輩がこの本を読んでいて、私のところに来て筆者の意見について議論を交わしたので、自分もちゃんと読んでみようと考え、春休みを利用しじっくりと読んだ。

彼の主張は
①宗教改革・資本主義経済の到来により人間はそれまでの社会的束縛から自由になった。
②自由になったことにより、自分を守ってくれるものがなくなり、人間は孤独感、不安感を持つようになった。
③孤独感、不安感から逃れるために、つまり「自由から逃走」するために人間は権威を求めるようになった。

これは非常に重い分析だ。
そして私が卒論で主張した説と重なる部分が多い。
社会人になって改めて感じるが、この日本には、せっかく自由な存在なのに、わざわざその自由から逃走し、権威の傘に守られようとする人間がとても多いのだ。そしてこういった人間は自分より弱い存在を探し、彼らに対して自分の権威を振りかざす。まさしく、マゾ・サド的人間なのだ。

私は卒論の中で、人間一人ひとりが責任ある主体(フロム的に言えば自由を積極的に享受する主体)となれるような教育を行わなければならないことを主張した。
しかし、今の日本の教育はますます権威に従順な主体(権威主義的パーソナリティを持った主体)を作ろうとしている。

教育界に身を置く人間として常に考えていなければならないテーマなんだろうと思う。新学期が始まるに当たり読んでおいて良かった本であった。

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