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終わりよければすべてよし [文学 イギリス Shakespeare]


シェイクスピア全集 (〔25〕) (白水Uブックス (25))

シェイクスピア全集 (〔25〕) (白水Uブックス (25))

  • 作者: ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 新書



シェイクスピアの『終わりよければすべてよし』を読み終わった。身分違いの愛を描いた作品だが、身分の低い女性が、自分の誠実さと力だけを頼りに、問題を解決していき、自分の思いを遂げるというのは素晴らしい。主人公のヘレナというのはシェイクスピア劇のヒロインの中でも1、2位を争う魅力的な人物なのではないだろうか。ヘレナの策略に手を貸すダイアナや、ヘレナが想いを寄せるバートラムの母親ロシリオン伯爵夫人など、全体的に女性がとても魅力的かつ美しい心の持ち主として描かれている。
このヘレナは純潔の鏡のような人物として描かれているのだが、トロイ戦争の直接的な原因となった「ヘレン」と同じ名前をつけるあたりがまた面白い。実際道化を使って、この有名な作品をもじった詩をシェイクスピアは披露している。(第一幕第三場:p.30)
いくら暗いとは言え、ベッドの中で相手を間違えるか、という疑問や、妻がなくなったからといって、そんなにすぐに周りの人間が結婚を認めるのか(これは『から騒ぎ』でも同じだが)、こんなに素晴らしい性格のヘレナが、なぜこんなにどうしようもないバートラムをここまで愛するのか、などツッコミどころは満載なのだが、それはあくまでフィクション、劇であり、注目する部分を変えればかなり楽しめる。
前回の『トロイラスとクレシダ』やこの『終わりよければすべてよし』などはそこまで有名な作品ではないが、ストーリーも人物像などもすべてが4代悲劇や有名な喜劇に劣っていない。本当にシェイクスピア作品はマイナー作品でも素晴らしいなあと思う。 

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