SSブログ

ヴァレンシュタイン [文学 ドイツ]


ヴァレンシュタイン (岩波文庫)

ヴァレンシュタイン (岩波文庫)

  • 作者: シラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/05/16
  • メディア: 文庫


シラー作『ヴァレンシュタイン』を読んだ。ベートーヴェンの交響曲第9番大4楽章の歌詞はシラーの頌歌を元に作られているということもあり、一度は読んでみたいとは思いながら、そんなに興味深い作品もなく、文庫化されているものも全然なかったので全く手をつけずにいた。
しかし先月、岩波文庫からこの『ヴァレンシュタイン』が復刊されるということで、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ『ワルトシュタイン』に名前も似ているということで買ってみた。

全体は3部に分かれており
1部:ヴァレンシュタインの陣営
2部:ピコローミニ父子
3部:ヴァレンシュタインの死
となっている。
1部はその名のとおり、陣営内の様子を描いただけのものであり、ヴァレンシュタイン自身は登場しない。正直なくても良い気がするのだが・・・。
2部からが本番という感じ。ドイツの30年戦争時の話で、ヴァレンシュタイン最高司令官が最高権力者の神聖ローマ帝国皇帝の元を去り、独自の道を突き進もうとするが、内部の裏切りに遭い最後は殺される、という話だ。
争いでどちらが絶対に正しいということはあまりない。そうした中、ヴァレンシュタイン側につくのか、肯定側につくのか、という様々な人物の、心の葛藤とその先にある行動を、詳細に描いた作品。
様々な人物の心の動きを描いていること、戯曲なので原則的には彼らの言葉だけで構成されていること、からシラーの思想というものはこの作品からはかなり見えにくい。
おそらくシラーは、「正しいものとは何か。自分の信念のもと行動することの難しさ」ということを観衆に、読者に考えて欲しかったのではないかと思う。
こうした作品、私は好きである。がやはりわかりづらいので読むのに結構辛抱がいる作品であることは間違いない。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0