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ファウスト 第二部 [文学 ドイツ]


ファウスト 第二部 新訳決定版 (集英社文庫)

ファウスト 第二部 新訳決定版 (集英社文庫)

  • 作者: ゲーテ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/05/20
  • メディア: 文庫



『ファウスト 第二部』を読み終わった。

ある程度予想はしていたが、やはり読みづらかった。
とはいえ数年前に読んだときよりははるかに読めた。

この第二部が読みづらい理由としては、ギリシア神話・トロイア戦争関連からの引用が多い点が上げられる。特に、トロイア戦争が始まった直接的理由である、パリスとヘレナの関係、ヘレナが絶世の美女であったことなどが分かっていないとほとんど意味が分からない。10年ほど前、この作品を読んだとき、この辺の知識はほとんどなかった。ここ数年、かなりギリシア神話、トロイア戦争関連の本を読み漁ったので、今回は、少しはわかって読むことが出来た。

結局、『ファウスト』は全編に渡って、人間の欲望というものを、特に男の欲望というものを描いている作品なのだと思う。女・金・永遠の若さ(命)・力・権力、こうしたものを手に入れたいと思う男達の心と、それを取り巻く周りの人間達の様子を、ギリシア・ローマ神話、聖書の物語、シェイクスピアなどの西洋の古典と言われる作品を取り込みながら描いていった作品なのだろう。そう考えると、人間の普遍的な性質を描いているといえるが、やはり日本人が理解するには超えなければならない壁が多いのであろう。

私はまちがってもこの作品を中・高生に薦めたりはしない。そして安易に面白い作品として友人などに薦めることもできない。しかし、様々な古典を読み解き、人間の本質を真剣に考えている人々にとっては多くの示唆を与えてくれる作品だとは思う。そうした人々には是非オススメしたい作品だ。
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