神曲 天国篇 [文学 イタリア]
『神曲 天国篇』を読み終わった。
神学的な話しが多く、地獄・煉獄・天国と三冊の中では一番読みづらいらしいが、私は一番読みやすかった。
地獄と煉獄は、ギリシア・ローマの知識に加え、当時のイタリア、特にフィレンツェの状況・個人を知らなければ分からない部分が多々あったが、この天国篇はある程度聖書の知識があればわかるし、日頃から「神」について考えていると、彼らが論じていることが分かりやすい。しかも他の巻に比べ、一つ一つの内容に関して、それなりに長い行を要しているのである程度頭に入って気安い。とはいえ、やはりもともと詩であり、極限まで無駄をなくした形で文章が構成されているので、普通の小説や論文にくらべればわかりづらいことは間違いない。
小説として面白いか、というとそうでもないし、神学を論じた文章として深く考えさせられる内容かというとそうでもないし、かなり中途半端で、傑作か、と問われれば全くそんなことはないのだが、詩という形態で地獄から天国までを描いた、という意味で素晴らしい作品なのだろう。
ゲーテの『ファウスト 第二部』同様、いまいち消化し切れていない部分も多いのだが、世界的な古典的名著といわれるこの2冊をこの2ヶ月読めたのは良かった。
2018-12-22 07:19
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0