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獣人 下 [文学 フランス ゾラ]


獣人 (下巻) (岩波文庫)

獣人 (下巻) (岩波文庫)

  • 作者: エミール・ゾラ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1991/03/01
  • メディア: 文庫



ゾラの『獣人』下巻を読み終わった。
字体が古いというのももちろんあるが、物語が進んでもなかなか読むペースは上がらなかった。
ゾラの別の作品『ジェルミナール』も、旧字体で印刷された本だったが、こちらは読むにつれて全く旧字体も気にならなくなり、どんどん読むスピードが上がっていったので、やはり『ジェルミナール』は物語として面白く、読みやすかったのだと思う。

この『獣人』読み進めにつれ、どんどん残酷さ、悲惨さが増していく。ドストエフスキーの『悪霊』を思わせる感じだった。

「獣人」とは誰なのか?ということを読者は考えながら読むのであろうが、ゾラとしては、全ての人間に潜む「獣」性を、様々な点で、描いたのだと思う。登場人物は皆、それぞれが違った意味で「獣人」性を持っている。そしてそれが社会的地位によって、周りの人間の見方も違ってきて、その「獣人」性に引き起こされた事象が、結果的に大きく違ったものになっていく。

人間の内面における不条理さと、社会の不条理さを同時に描いた傑作と言える。とはいえ、やはり読むには結構しんどかった。

湊かなえ好きの人にはとても面白く読める作品なのではないだろうか。
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