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おまじないは魔法の香水 [文学 日本 児童書 魔法の庭シリーズ]


魔法の庭ものがたり13 おまじないは魔法の香水 (ポプラ物語館)

魔法の庭ものがたり13 おまじないは魔法の香水 (ポプラ物語館)

  • 作者: あんびるやすこ
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2013/04/11
  • メディア: 単行本



今回も、非常に良い話だった。
①エイプリル、スー、ジャレットが仲良しの印として、「お揃いのもの」を買おうと決めるが、いざ探してみると、お互いの好みが合わずいいものが見つからない。結局自分たちは仲良しではないのではないかと悩む。
②レスキュー犬になりたい子犬のギフィが、そのために頭の中に千個の匂いを整理して貯めるために旅に出て、その途上で体調を悪くしてしまい、トパーズ荘に薬を調合してもらいにやってくる。
③アナベルが最愛の人ウィルに自分の気持ちを伝えられるような薬を調合してもらいにやってくる。

この3つが柱となって物語は展開する。
結論としては、3つの全く性質の異なるものや香りが合わさることで『上等』な性質のままになるというもの。

ジャレットの、悩みが晴れていくときの言葉が美しい。

p.131
「わたしたちは、香水の三つのかおりのようにぜんぜんちがう。でもそれでいいんだわ。いいえ、そのほうがずっといい友だちになれるのよ。」
 もう、おそろいのバッグがもてなくてもかまわない、とジャレットは心から思いました。好みがちがう三人にとって、「おそろい」は「仲よしの証明」にはならないと気がついたのです。
「だれかがむりをして『おそろい』をもっても、意味がないんだわ。それぞれがそれぞれのままで、これからも仲よしでいよう。」

同じものをもってお互い安心する、同質性をもった集団で集まり、異質なものを排除する、そういった風潮が現在非常に高まりつつある。しかしそれは本当の意味での「仲よし」とは言えない。お互いがお互いの個性を認め合い、高め合う関係こそが真の「仲よし」と言える。

嫌味なく、温かい物語で重要なことを伝えてくれるこのシリーズ。本当に素晴らしい。

だが、やはり音楽に関する描写がイマイチだ。
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