不平等の再検討 [学術書]
アマルティア・センの2冊目を読んだ。前回読んだ『貧困と飢饉』ほどの衝撃はなかった。
この本のテーマは、「はじめに」のはじめに書かれた以下の文章に集約されていると言える。
p.Ⅴ
「社会制度の倫理的アプローチの中でも歳月の試練に耐えて生き残ってきたもののほとんどは、何かについての平等、すなわち、その理論の中でじゅうような位置を占める何かについての平等を求めているという特徴を持っているという点で共通している」
おなじことを言っているのだが、第一章からも引用してみたい。
p.24
「ある変数における平等(それが伝統によっていかに神聖化されていようとも)は他の変数に関して半平等主義的になるということ、またその相対的な重要性は、総合的評価の段階で批判的に評価しなければならないということを認識しておくことは重要である。」
多くの人は、何かを決定する際、なるべくある面において平等性を保とうとする。しかし、あらゆる側面で平等性であることは不可能である。そうした時に、どの面に重きをおいて、平等性を求めるのかが重要になる。
正直、内容的には様々な点から色々なことが検討されているが、すごく興味深いものではなかった。だが、上記の視点は自分には全くなかったので、とても新鮮で、これから様々なことを考える際非常に重要な視点だと思った。そうした点だけからでもこの本はとても良い作品だった。
2020-10-23 14:26
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