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安房直子コレクション3 ものいう動物たちのすみか [文学 日本 安房直子]


ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

ものいう動物たちのすみか (安房直子コレクション)

  • 作者: 直子, 安房
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2004/03/01
  • メディア: 単行本



『安房直子コレクション』の3巻を読み終わった。
この巻は、題名通り動物たちのお話。全部で15作品入っているがメインは3作品。
①きつねの夕食会
②ねこじゃらしの野原 とうふ家さんの話
③山の童話 風のローラースケート

①は独立した作品「きつねの夕食会」
コーヒーセットを買ってもらったきつねの娘はお茶会をしたくてしょうがない。そこで、お父さんに頼んで、人間にお客になってもらうことに・・・。なかなかお客は見つからないのですが、ふとしたことでお客さんがみつかって。最後はたくさんお客が来たけれど・・・。

とっても和やかな最後にくすっとなる話。

②は6つの短編でなっている。
1. すずめのおくりもの
2. ねずみの福引き
3. きつね山の赤い花
4. 星のこおる夜
5. ひぐれのラッパ
6. ねこじゃらしの野原

このうちの何作品かは、福音館から出ている『ひぐれのラッパ』で既読。
谷あいの町の住むとうふ家さんの夫婦とそのこどもたちが、動物たちと触れ合う作品。
1は、すずめが、新入学のすずめの子供たちのために、ご馳走を作ってあげようと、豆腐屋さんに油揚げを作ってもらう話。
2は、ねずみが開く福引大会に、とうふ家さんが呼ばれる話。福引大会に参加する代わりに持っていった豆腐が大評判。最後の線香花火の描写がとても綺麗。
3は、とうふ家さんの娘ゆみ子と子ぎつねの心暖まる交流を描いた作品。
4は、『雪女』のような少しぞっとする話。
5も、昔山崩れでなくなってしまった村の亡霊が出てくる、こちらもぞっとする話。
6は、タイトル作品。昔飼っていた猫が、いつの間にか猫向けのとうふ家を営んでいた話。

ほっと心暖かくなる作品から、少し背筋が凍るような作品まで、楽しめる。とにかく、とうふ家さんの心が温かくて良い。

③は全部で8作品からなる。
1. 風のローラースケート
2. 月夜のテーブルかけ
3. 小さなつづら
4. ふろふき大根のゆうべ
5. 谷間の宿
6. 花びらづくし
7. よもぎが原の風
8. てんぐのくれためんこ
こちらは、峠に住む家族たちの話。基本は茂平茶屋という茶屋を営む家族が主人公の話。
1は、ベーコンを作ってみたところ、それがイタチに取られてしまい、大変な目にあう話。結構ドキドキする話。最後は楽しく終わる。
2は、たぬきが経営するホテルに家族で誘われる話。自分も行ってごちそうしてもらいたくなってしまう。
3は、お土産屋さんを営む老夫婦の話。「つるのおんがえし」のような話で、風邪を直してもらった猿に助けられる老夫婦の優しい心がとても良い。最後の一文が心に残る。
「おばあさんは、いちばんはじめに、猿が持ってきてくれた見本のつづらを、だいじにしています。これだけは、けっして売らないでおこうと心に決めているのです。」
4は、いのししのふろふき大根パーティに、茂平さんが呼ばれてご馳走になるはなし。
5は、狭い宿で虫に囲まれる男のはなし。これはかなり怖いし気持ち悪い。
6は、年に一度やってくる、桜の精による、お祭りに誘われてた婦人たちの話。最後は少し教訓めいていて怖い。
7は、こどもが遊んでいるうちにいつのまにかうさぎになってしまっている話。安房直子さんは同じ様な話しを違う形で何回か書いている。あまんきみこさんなどもそうなのだが、結構児童文学になわとびをモチーフにして話を膨らませることがよくある。
8は、傑作。絵本にもなっている。めんこの弱い男の子が天狗にもらっためんこで、きつねたちと勝負するうちに力を付ける話。「セロ弾きのゴーシュ」のような動物たちによって力をつける人間の姿がとてもほのぼのとしていて良い。

どれもおもしろい作品だった。

きつねのゆうしょくかい (どうわがいっぱい)

きつねのゆうしょくかい (どうわがいっぱい)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/06/20
  • メディア: 単行本




風のローラースケート (福音館文庫 物語)

風のローラースケート (福音館文庫 物語)

  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2013/05/10
  • メディア: 単行本



てんぐのくれためんこ

てんぐのくれためんこ

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2008/03/01
  • メディア: 大型本



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