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日暮れの海の物語 [文学 日本 安房直子]


日暮れの海の物語 (1977年)

日暮れの海の物語 (1977年)

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1977年7月25日に角川書店から初版が出版された安房直子の『日暮れの海の物語』をAmazonの中古で手に入れた。私が収集した様々な本の中にも未収録の作品が5作品あった。

①冬の娘
②カスタネット
③西風放送局
④赤い魚
⑤夏の夢

①白菜を売りに行く荷馬車に乗った、冬の娘(妖精のようなもの?)と馬車を引く馬の物語。冬の娘の持つ洋服などを欲しがる馬の話。冬の娘から色々なものを強引に奪い取った結果、自分が苦しむはめに・・・。というような話。若干教訓譚めいた感じ。

②安房直子お得意の、自然の精などの美しいが恐ろしい存在に魅せられた、人間や動物たちの話。今回は最終的に意志の強い妻に助けられるが、その代償として足が動かなくなってしまう。結構おそろしい 話。

③は微笑ましい。3人のねずみがコーラスグループを結成し、タキシードを人間に作ってもらい、ラジオ番組に出演するまでを描いた話。ほのぼのとして暖かい。

④は傑作だ。食に出されそうになった、赤い魚を助けた女の子は、そのお返しに3つの願いを叶えてあげると言われる。美しい髪と瞳を手に入れた彼女が最後に望んだものは・・・。人間の欲望を美しく描いた悲しい作品。

⑤も安房直子らしい作品。昔一度あった美しい女の子の思い出が、自然の中で美しく蘇る話。

全体的に怖い話が多く、収録作品もかぶっている『夢の果て』に似たような雰囲気の作品集だった。
こうした作品が絶版なのはいつも書くが残念だ。
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