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Op.66 「商人の鑑」 [R・シュトラウス 歌曲]

楽譜出版社に訴えられ負けてしまった、R・シュトラウスがその仕返しに書いた風刺曲らしい。その割には美しいメロディに満ちていて彼の歌曲集の中では一番聴きやすい気がする。


1. Es war einmal ein Bock
★★★★★★☆☆☆☆
「昔 一匹の牡山羊が」
「タッタラタッタラ」という独特のリズムの上を美しいメロディが流れる非常に聴きやすい曲。初めはピアノ曲?と思うほど前奏が長い。

2. Einst kam der Bock als Bote
★★★★★★☆☆☆☆
「あるとき牡山羊が使者になり」
低い「タ~、タラ~、タラ~」という主題と、高い「タララ~、タララ~」という主題が対話的に繰り返される独特の前奏の後、舞曲のような優雅なピアノ・ソロが流れ、歌も低い音を高い音を行ったり来たりする。聴いていてとても楽しい曲。

3. Es liebte einst ein Hase
★★★★★★★☆☆☆
「昔 ウサギが惚れ込んだ」
子守歌のような、穏やかで美しいメロディ。ピアノの「タララララ~」という歌の合間合間に入る音が美しい。

4. Drei Masken sah ich
★★★★☆☆☆☆☆☆
「三つの仮面を私は見た」
不気味な雰囲気の、非常に前衛的なピアノ前奏で始まる。この前奏もかなり長い。その雰囲気のまま歌に入るが、最後は馬鹿にしたように軽い感じになりあっさり終わる。

5. Hast du ein Tongedicht vollbracht
★★★★★☆☆☆☆☆
「曲ができたなら」
軽快な音楽。曲が出来た喜びをうまく表している。

6. O lieber Künstler sei ermahnt
★★★★★★☆☆☆☆
「おお芸術家たちよ気を付けよ」
美しいワルツ。長い前奏のあと歌が始まるのだが、美しい優雅なピアノ伴奏の上で、怪しげなメロディが歌われる。楽しい雰囲気の舞踏会で、お互い牽制しあいながら、皮肉をぶつけ合っている人々を描いているかのよう。まさにオペラの一場面のような曲。

7. Unser Feind ist,grosser Gott
★★★★★☆☆☆☆☆
「神様よ、我らが敵は」
けんかを始めたのかと思わせる激しい口調の曲。どこかしら滑稽さもある。

8. Von Händlern wird die Kunst bedroht
★★★★★★★☆☆☆
「商人は芸術を食い荒らし」
これも非常に長い前奏。普通に美しい旋律を持ったピアノ曲としても十分に通用する。
美しすぎるピアノ前奏が終わると非常に暗い雰囲気の歌が始まり、流麗なアルペジオのピアノ伴奏の上を激しい口調で歌が流れる。かなりパンチの効いた面白い曲。

9. Es war mal eine Wanze
★★★★★☆☆☆☆☆
「昔一匹の南京虫が」
怪しげなメロディと淡々とした和音の連続の伴奏が、不気味な雰囲気を作り出している。何故か最後は美しいメロディが流れ出す。

10. Die Künstler sind die Schöpfer
★★★★★☆☆☆☆☆
「芸術家は創造者」
軽い感じの楽しげな雰囲気の曲。

11. Die Händler und die Macher
★★★★★☆☆☆☆☆
「商人とその元締めは」
歌から入るこの曲集にしては珍しい曲。優雅な雰囲気の曲。ベートーヴェンの運命の冒頭部分のようなメロディも聞こえる。

12. O Schröpferschwarm
★★★★★★★☆☆☆
「おお 銭取り虫の群れよ」
とても優雅なゆったりとした曲。途中から非常に流麗な美しいメロディをピアノがソロで弾く。信じられないほど感動的な後奏が流れしっとりとこの曲集が閉じられる。

美しいメロディをふんだんに散りばめた皮肉たっぷりの歌曲集。

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