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A changed Man, and Other Tales [文学 イギリス Thomas Hardy]


A Changed Man, and Other Tales

A Changed Man, and Other Tales

  • 作者: Hardy, Thomas
  • 出版社/メーカー: Createspace Independent Pub
  • 発売日: 2018/03/31
  • メディア: ペーパーバック



A Changed Man
 ある町に、軍隊の一団がやってきてそこに居を構える。その軍隊は幽霊に取りつかれているという噂がその町に流れる。その噂を確かめようと、人々がその隊の大佐、30歳くらいのハンサムなMaumbryという人物の所に行き確かめるが、事実は認めるが詳しいことは話そうとしない。軍隊が居を構える場所が見える小高い丘に住む、足が不自由な中産階級の男が、Maumbryと仲良くなる。その中産階級の男の家の傍に住むLauraという若く美しい女性をMaumbryは見初め結婚する。二人は仲良く暮らしていたが、そんなある日町に新しい牧師がやってくる。その牧師は礼拝の邪魔になるからと、日曜の午後に行われていた軍隊による演奏会をやめて欲しいとMaumbryにお願いする。初めは不満だったが、この牧師と話をし納得して演奏会はやめる。Maumbryと牧師はこれをきっかけにどんどん仲良くなっていく。月日は経ち牧師が他の教区へ移動となる。そしてその後死んでしまう。その死にショックを受けたMaumbryは軍隊をやめて牧師になるとLauraに伝える。Lauraは反対するがMaumbryは軍隊をやめ牧師養成学校へと入学する。
 その後Maumbryは牧師となって町に帰ってくるが、Lauraの心はだんだんと離れていく。Lauraは足が不自由な中産階級の男と親しくなる。そんな中この町にコレラが流行し出す。牧師としてMaumbryは町の人々に献身的に尽くすが、妻のLauraをコレラに感染させるわけにはいかないと、別の場所に移動させる。その場所に軍隊の一団がやってきてその中の一人、若いMr. VannicockとLauraは急激に親しくなり二人で駆け落ちをはかる。駆け落ちをして町を出ようとしている最中、Maumbryが必死でコレラ患者達に対応しているのが目に入り、Lauraは駆け落ちをやめMaumbryを助ける。しかしMaumbryはその後すぐに死んでしまう。VannicockはシングルになったLauraに正式に結婚を申し込むが断られる。Lauraはその後ずっと結婚せず静かに息を引き取る。

脚が不自由な男が登場する意味がイマイチわからない。そして内容ももう一歩な気がする。

The Waiting Supper
 金持ちの女性Christineは父親と二人暮らし。彼女には農家の恋人Nicholasがいる。NicholasはChristineと結婚したいのだが、貧乏で教養もない自分に自信がない。そこで世界に出て、教養を身につけたいと思うのだが金もない。さらに世界に出てChristineを置いていってしまうと他の男に掠めとられてしまうのではと心配でならない。そこで彼はこっそり結婚証明書のようなものを教会で得て、彼女とこっそり結婚することにする。こっそりと結婚することに同意したChrisitineはMr. Bealandなる人物に手紙を書き、次の日の朝教会に来て欲しいと頼み了承を得る。
 翌朝、Bealand氏に頼んで結婚させてもらおうとするが断られる。この場面ShakespeareのRomeo&Julietを豊富とさせるシーンなのだが、牧師の断る理由もロミジュリを意識した感じで面白い。

p.20
“It is full of crises and catastrophes, and ends with the death of one of the actors. The tragedy of marriage, ~”

 その後二人は納得し、駆け落ちしないことも近い帰っていく。その日ちょうど、Christineの父の知り合いの家でPartyがあり、Christineも手伝いに行く。そこで知り合ったMr. Bellstonに心を寄せられてしまう。Partyでダンスが始まりそうなとき、ChristineはNicholasの姿を発見する。彼はChristineがこのPartyに参加することを知り、わざわざ遠くから徒歩でやってきていた。二人でDanceをしてPartyは終わる。家に帰って父親に呼ばれたChristineは貧しいNicholasと付き合ってはいけないと言われ、Bellstonから結婚の申し出があったことを伝えられる。心乱れるChristine。次の日Nicholasと会ったChristineは彼から、二人が教会でひそかに結婚しようとしたことが噂になっていると伝えられる。これを聞いた彼女は、彼にしばらく会わず、旅に出て名を上げてくるように伝える。別れた後、家に戻ったChristineは再び父に呼ばれる。二人のことが噂になっていることを伝えられ、二度とNicholasに会わないよう告げられる。色々なことがあり、Christineの気持ちは何となくNicholasから離れていく。それを察したNicholasは町を去る。
 15年後、一旗揚げたNicholasは町へ帰ってくる。そこでChristineと再会する。Christineは数年間Nicholasを待っていたが、結局Bellstonと結婚し、今は貧しい生活を送っている。Bellstonは結婚後ChristineにDVを行っていたらしい描写もあり、さらに彼は結婚後数年して、Christineの実家の金を使って周遊の旅に出て帰ってきていないことがわかる。一説によるとどこかで死んだ可能性もある。そこでNicholasとChristineは結婚することに決め、それを新聞に発表する。それをIrelandで見たBellstonが、結婚式前夜、彼らの元へ帰ってくる。使いの者が先に来て一時間後に本人が到着する、とChristineは伝えられる。その後Nicholasがやってきてその事実を知り、結婚はとりあえず取りやめにする。しかし待てど暮らせどBellstonは姿を見せない。結局彼は帰ってこないまま17年が過ぎる。採取的に結婚するのか?という余韻を残して終わる。

Nicholasの純愛が痛すぎる。Hardyは男性が一筋に相手の女性を想う作品が多い気がする。読んでいるときは、結婚式直前帰ってきたBellstonを逆上したNicholasが殺してしまうという結末を予想してただけに、何となく平和な感じで終わって良かったのだが、二人はさっさと遠くへ行って結婚してしまえばよかったのに、と思ってしまう。

Alicia’s Diary
 題名通り、Aliciaの日記。若くて子供っぽく元気な妹Carolineは母と共に人生経験を積もうとフランスのParisに向かう。そこでM. de la Festeという若い男性と出会い婚約する。そんなある日、フランスで母が病気になり死んでしまう。父親が母の遺体とCarolineを母国へ連れ帰る。母は生前自分が死んでもCarolineとFesteの結婚の話を進めるように言っていたが、Carolineはショックで結婚話は進まない。しかし段々と落ち着いてきていよいよ結婚に向けて話を進めようとするが、肝心のFesteがイギリスへやってこない。
 ついにやってきたFeste。かなり格好良く教養ある人物で、子どもっぽいCarolineよりも姉のAliciaとの会話の方が楽しくなってしまう。段々と惹かれあうAliciaとFeste。結局Festeが告白するもAliciaは断る。Festeはイタリアのヴェニスへ。Festeが自分と結婚せず遠くへ行ってしまったことを悲しむCarolineは病気になってしまい死にかける。AliciaはFesteを呼び寄せ、とりあえず結婚の約束だけでもCarolineにしてあげてくれと頼み、それを彼は受け入れる。こうしてCarolineの体はすっかり回復する。
 その後Festeはヴェニスから帰ってこず便りも途絶える。そこでCarolineはFesteを追ってイタリアへ。AliciaもCarolineを追ってイタリアへ。ホテルで会った三人。AliciaとFesteは今までのことを正直に話す。FesteはAliciaに、Carolineと自分に結婚して欲しいのか、と尋ねる。AliciaはCarolineと結婚することを勧める。
P60
“You belong to her(Caroline) – how can I do otherwise?”
“Yes; it is so; it is purely a question of honour, he returned. “Very well then, honour shall be my word, and not my love.”

こうしてCarolineとFesteは結婚するが、その日Festeは外へ行ったきり帰ってこない。すると彼が湖で死んでいるのが発見される。事故だったとされるが・・・。

かなり哀しい悲劇的な話。

The Grave by the Handpost
軍隊生活をしていた父親が、穏やかで平和的な性格を持つ息子も軍隊にいれ生活を安定させてやろうとしたことによって起こってしまった悲劇の話。地元で静かに商売を営みたかった息子は父親の意向に沿って軍隊入りし、インドへ送られる。しかしそこでの生活が苦しいことを手紙で父親に訴える。それを読んだ父親は自分のやってしまったことを悔い自殺する。自殺した人間の墓は作れないというイギリスの掟の元、とりあえず埋葬だけはされる。父の死を知った息子は墓石を作って建ててもらおうとするが自殺者ということで墓石は埋葬されたところに置かれず放っておかれてしまう。息子が久しぶりに帰ってきても墓石は建てられていない。結局息子も自殺し、彼は父と別の所に埋葬される。

救いようのない悲しく暗い話。

Enter a Dragoon
 Selinaという女性が、軍隊勤めのJohn Clarkという男性と婚約する。Selinaの父はこの結婚に反対し正式に結婚しないままJohnは戦地へ赴く。Johnが戦地に行った後SelinaにJohnnyという子供が生まれる。Selinaはある日、彼が戦地で亡くなったという情報を目にする。その情報はJohn ClarkではなくJames Clarkだったのだが、書き間違いだろうということで彼は死んだものと考えていた。その後、Mr. MillerがSelinaに告白し結婚することに。まさに結婚前夜、Johnから手紙が届き、彼が帰ってくる。SelinaはMr. Millerを愛していたが、高潔な彼女はJohnと結婚することを選び、Mr. Millerもそんな彼女の心を尊重する。色々ダンスをしたり酒を飲んだりしているうちに、Selinaが実は他の人と結婚準備をしていたことがJohnにわかってしまう。
 SelinaがMr.Millerとの話をJohnにしている間に、Johnの顔色がみるみる悪くなりそのまま死んでしまう。死因はよくわからなかったが、Selinaは自分がMr.Millerと結婚しようとしていたせいだと考え、自責の念に駆られる。色々ないきさつを知っている村の人の中でいるのも辛くなり、彼女は息子のJohnnyと少し離れた町で青果店を開きそれなりに生活できるようになる。2年弱経ち、Mr.Millerがもう一度結婚の申し込みに来るが、彼女は断る。その後Mr.Millerは別の女性と結婚したことが風の便りで伝わってくる。
 SelinaはJohnのお墓を定期的に訪れ、花を捧げていたが、そんなある日子供を連れた女性が、Johnの墓を掘っているのを発見する。彼女を問い詰めたところ、彼女はJohnの正式の妻であり子供は彼の子供だとわかる。

これも何とも言えない後味の悪さがある作品だ。


A Tryst at an Ancient Earth Work
 一人称の語りの正直よくわからない作品。

What the Shepherd Saw (A Tale of Four Moonlight)
 一人の若い羊飼いが丘の上に住んでおり、年老いた羊飼いが彼の元を毎晩訪れる。
 ある日、老人の羊飼いが帰った後、眠れずに外を眺めると、ある女性とある男性が話をしている。女性は人妻で、男性は昔の恋人。彼女が結婚した後も想いが経ち切れず彼女を呼び寄せ口説いている。女性の夫は、今日、明日、明後日と帰ってこないらしい。そこで明日も会いたいと男は頼むが女は断る。しかしどうしても男性が放そうとしないので、女性は明日も来ることを約束しその場を立ち去る。二人が立ち去った後怪しい男の人影が・・・。
 次の夜、最後にいた男性が現れ隠れる。その後昨日口説いていた男が現れ、先に来ていた男性に殺され、埋められる。その男性は家に戻り自分の妻に迫るが、妻は昨日のことを淡々と話す。
 さらに次の夜、女性は夫に頼んで、男がまた来ているはずなので、二度と自分に近づかないよう冷静に話をしてくれうよう頼む。夫は嫌がるが結局約束の場所へ。当然彼は来ない。そこへあの若い羊飼いが通る。夫は昨日この場所で何かを見なかった聞くが、羊飼いはうまく答えられない。妻を先に家に帰し、夫は羊飼いの元へ。そこで彼は殺人を見ていたことを知るが、教育を受けさせることと引き換えに決して昨晩のことは話さないことを誓わせる。
 それから22年後、羊飼いは夫の執事になっている。そんなある日、年老いた羊飼いが死ぬ。彼は22年前に見たことを警察?に話してしまったらしい。結局夫は両親に呵責にさいなまれ、夢遊病のようになり、階段から落ちて死ぬ。元羊飼いの執事もその後すぐに死ぬ。

結構暗く悲しい話。

A Committee-Man of ‘The Terror’
 フランスからイギリスへ来た男が、街を歩いていると、女性が自分を見て失神するのを目撃する。彼女を助けるが彼女は彼に敵意むき出し。後日彼女の元を訪ねると、彼女の親は元貴族で、フランス革命で彼女以外の肉親はすべて殺されてしまっていたことが分かる。男性はその当時革命委員会の一人で、それを知っていた彼女は彼を憎んでいる。二人は街でしばしば顔を合わせる。彼女は相変わらず敵意むき出しだが、彼は彼女に惹かれていく。ナポレオンによるフランスのイギリス攻撃などがありフランス人としてイギリスに居づらくなった彼は、彼女にプロポーズし、一緒にカナダへ行こうと誘う。悩んだ結果彼女はプロポーズを受ける。
 彼女の唯一の友人だったフランス時代の女性にこの結婚を知らせると、友人は大反対。結婚式間近だったが悩んでいる気持ちを彼に伝える。彼は少し話をしてその日は自分の家に帰っていく。
 色々と悩んだ彼女は、彼との別れを決意し夜間に住んでいた宿を抜け出す。しかし馬車の中でさらに考えた結果やはり彼と結婚しようと思い直し今来た道を戻っていく。宿につくと彼からの手紙が残されている。友人からの手紙で悩み、過去の遺恨を残しているのであればやはり結婚できない、ということで彼は既に彼女の元を去っていた。結局彼女は生涯独身で死んでいく。

ハーディー得意の男女のすれ違いを描いた作品。しみじみとした感じがある。


Master John Horseleigh, Knight
 ある兄妹がいて、兄が海に2年間仕事へ行っている間、妹は裕福で優しい商人と結婚。しかしこの商人がすぐに死んでしまう。妹は前夫の死から半年も経たず別の男と結婚するつもりでいる。だが、この男は通い婚のような感じでいまいちはっきりしない。そんなある日、そんな事情を知らない兄が久しぶりに海から帰ってきて妹の前に姿を見せる。ごちゃごちゃやっている間に、子どもを連れたある女性が妹の前に現れる。
 じつは今の夫はこの女性と結婚しており子供もいた。しかし彼女たちの元を彼は去ってしまう。そのまま夫は死んでしまったものと考えていたが実はフランスで生きていた。彼は彼女たちの心を乱したくないらしく姿を現さなかったらしい。

イマイチよくわからない話。

The Duke’s Reappearance –A Family Tradition
 娘二人と一緒に住むある男の元に、真夜中ぼろぼろの姿をした男が自分をかくまってくれと尋ねてくる。彼はぼろぼろの男を一晩泊めてやり心を尽くした世話をする。しかし果樹園でその男が娘の一人に無理やりキスしようとしているのを目にし、冷静に話をしお引き取り願う。しかしこの男は実は偉い人だった、という話。

これも良く分からない話。

A Mere Interlude
島に住むBaptistaという娘が、先生になる教育を受け先生になる。そんな中、父親の友人であるMr. Heddeganという裕福な商人との結婚話がもちあがる。彼はBaptistaよりも20歳以上年上だが、金持ちだし教師という仕事もあまり好きではない彼女は結婚を承諾し、自分の生まれ故郷島へと戻ろうとする。
 結婚式は木曜日。前の週の土曜日、島へ渡るための船に乗ろうとしたところ、時刻表が変わってしまっており、帰れない。船は火曜日まで出ない。しかたなく近くの宿にしばらくいようとしていたところ、昔の友人Charlesと偶然出会いプロポーズされる。初めは断るが熱心に求婚され月曜日には結婚してしまう。結婚後海に出たCharlesはそのままおぼれてしまい帰ってこない。しかたなく火曜日の船に乗り家へ帰るBaptista。Charlesのことを伝えようとするが皆がMr.Heddgeganとの結婚を祝福してくるので言い出せない。このあたりのうじうじした葛藤が『テス』の中間部を思わせる。
 結局二人は結婚。1か月ほど経った頃、偶然BaptistaとCharlesが結婚していたことを知る男がBaptistaと出会い、彼女が別の男性と結婚していることを知り、金などをせびりに来る。2度は我慢したが段々エスカレートする要求に耐えられなくなり、BaptsitaはMr.Heddgeganに真実を告白する。彼は怒るどころか自分もかつて結婚しており、娘が四人いて全員読み書きができないので、彼女らを教育して欲しいと頼まれる。初めは嫌がっていたBaptistaだったが時が経つうちに楽しくなり、最終的には幸せな家族生活を営むようになる。

Hardyにしては珍しくとてもHappyなストーリー。
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