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ラ・ボエーム [文学 フランス]


ラ・ボエーム (光文社古典新訳文庫)

ラ・ボエーム (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: Kindle版



数年前、この『ラ・ボエーム』という本が光文社古典新訳文庫から出されたことは知っていた。オペラや部隊、ミュージカルやバレエの原作本を読むのが好きな私は、当然興味を持って本屋で手にとってみたのだが、何にしろ分厚い(600ページ超)・・・。さらにあらすじ等を見るとあまり面白そうでもないので買わずにいた。

しかし今年、何故かフランス文学をいろいろ読んでみようと思い、色々と本を購入している時にふと目に付き、せっかくだからと思い買っておいた。

ひとつの長編というよりは、同じ登場人物たちが繰り広げる短編集をつなぎ合わせたもので、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズに近い感じの本になっている。

音楽家ショナール、詩人ロドルフ、哲学者コリーヌ、画家マルセルの四人の芸術家を中心に、ロドルフの恋人ミミ、マルセルの恋人ミュゼット、ショナールの恋人フェミィ、その他の登場人物が繰り広げる青春群像激劇となっている。

お金が儲かればすぐに豪勢な食事をし、酒を飲み、お金がなければ金の無心をして、食事をし、家賃を滞納し、とハチャメチャな芸術家たちなのだが、道徳的に悪いことはあまりせず、結構騎士道精神を持って信念を持って行動しているところが読んでいて心地よい。恋愛関係にしても、女性たちが結構奔放に性を謳歌しているのに対し、男たちは結構純愛なのも良い。

4人の登場人物がおり、初めに登場するのはショナールではあるのだが、基本はロドルフ=ミミが主人公的な感じで、マルセル=ミュゼットが副主人公的に多く登場する。

最終的には4人の芸術家は大成していって終わり、それぞれの女性とは結ばれない。

ちなみにこの作品はプッチーニの「ラ・ボエーム」やミュージカル「レント」の原作となっているのだが、プッチーニのオペラの有名なシーン、ロドルフの部屋に火を借りに来たミミが、暗闇で鍵を落としてしまい一緒に探す中でお互い好きになっていく、というシーンは18章「フランシーヌのマフ」に出てきて、これはフランシーヌとジャックという本当にほぼこの章にしか登場しない二人によって繰り広げられる。さらにミミは結構性に奔放で、オペラに登場するような純情な感じの女性ではない。

長かったが結構スラスラ読めたし、それなりに面白かった。
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