うさぎのくれたバレエシューズ [文学 日本 安房直子 あ行]
バレエ教室に通い始めて5年も経つのにいっこうに上手くならない女の子。たんじょうびにも、たなばたさまにも、月にも星にも「どうか、おどりがじょうずになりますように」と頼み続ける。
そんなある日。彼女のもとにふしぎなこづつみがとどく。開けてみるとバレエシューズが。履いてみるとからだが軽くなって、足もひとりでに跳ね上がって。すると遠い風の音が聞こえ、山の方へと向かう。
大きな桜の木の中には、うさぎの靴屋がある。そこで主人のうさぎと一緒にたくさんのバレエ・シューズを作る。できたバレエ・シューズを取りに来たうさぎたちと一緒に、女の子はバレエを踊り続ける。
ふと気がつくと草むらに彼女はひとり。ボロボロのバレエ・シューズと共に家に帰った女の子。その後もずっと彼女はこのバレエ・シューズを大切にし続ける。
やはり何かが上手くなりたいとなった時、かなりの時間と労力をかけて努力する必要がある。しかしなかなかその一歩は踏み出せない。宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」と似た作品。動物たちの力を借り、自然に、自分では努力しているという意識なく努力し、いつのまにかうまくなっているという部分が共通している。
やさしい絵とやさしい文章がとても素晴らしい本。
2022-08-11 17:07
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