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クリトン [哲学 プラトン]


プラトン全集〈1〉エウテュプロン ソクラテスの弁明 クリトン パイドン

プラトン全集〈1〉エウテュプロン ソクラテスの弁明 クリトン パイドン

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/01/25
  • メディア: 単行本



前作『ソクラテスの弁明』で死刑判決を受けたソクラテスが、死刑の執行を待つ間、クリトンが牢にいるソクラテスのところへやってきて、彼に国外逃亡を勧めるが、ソクラテスがそんなクリトンを説得する物語。

『ソクラテスの弁明』とともに、ほぼひとりがたりのこの作品だが、素晴らしい内容で、グイグイひきこまれる素晴らしい作品。

p.133
「大切にしなければならないのは、ただ生きるということではなくて、よく生きるということなのだというのだ。」

p.136
「たとい不正な目にあっても、世の多数の者が考えるような、不正の仕返しをするということは、とにかく、どんなにしても、不正を行ってはならないのだとすると、そういうことも許されないことになる。」

p.148
「しかしお前は、老人の身で、余生も残り少ないと多方は見られるのに、最も大切な法を踏みにじってまで、こんなに執念深く、ただ生きることを求めて憚らなかったのだというふうに言う者が一人もいないだろうか。~中略~しかもその生とは、テッタリアでは、ご馳走でも食べるよりほかに、何をすることがあるのだ。まるでテッタリアでは、御馳走でも食べるよりほかに、何をすることがあるのだ。まるで食事のために、テッタリアまで逃げていったようなものではないか。これに対して、あの正義、その他の徳についての議論は、どこにあることになるのか、ひとつ教えてもらいたいものだ。」

p.150
「まあ、いずれにしても、いまこの世からお前が去って行くとすれば、お前はすっかり不正な目にあわされた人間として、去っていくことになるけれども、しかしそれはわたしたち国法による被害ではなくて、世間の人間から加えられた不正にとどまるのだ。ところが、もしお前が、自分で私たちに対して行った同意や約束を踏みにじり、何よりも害を加えてはならないはずの、自分自身や自分の友だち、自分の祖国とわたしたち国法に対して害を加えるという、そういうみにくい仕方で、不正や加害の仕返しをして、ここから逃げていくとするならば、生きているかぎりのお前に対しては、私たちの怒りがつづくだろう」


「ただ生きる」ことではなく「よく生きる」ことを求めたソクラテス。そして「よく生きる」ために自ら進んで「死」を選んだソクラテス、おそらくこの思想は上野千鶴子は否定するものなのだろうが、私はどうしても共感してしまう。

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