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エプロンをかけためんどり [文学 日本 安房直子 あ行]


遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 単行本



安房直子さんの作品にしては珍しく登場人物たちに名前が付いた作品。

三人の子どもがいる、お百姓の三十郎。
一番上の初美 5つ
二番目の志津 3つ
政吉     赤んぼう

一番下の子が生まれると、おかみさんは病気でなくなってしまい、三十郎は泣いて過ごし、子どもたちはお腹を空かせ家は荒れ放題に・・・。

そんな時、「エプロンをかけためんどり」がやってくる。このめんどりはかつておかみさんが可愛がっていてめんどりで、太陽へ向かって飛び立ってしまっためんどりだった。

このめんどりが魔法の道具を使って、お料理、お洗濯、お掃除、寝かしつけまで家のことは何でもやってくれる。一番上の初美はこのめんどりになつき、夜皆が寝静まったあと、押入れの中に入りふろしきを広げ夢のような世界を見せてもらう。

しばらくこのめんどりに世話になりっぱなしだった三十郎。慣れてくると子どもがこのめんどりになついていることが気に入らなくなってくる。そんなある日三十郎に再婚話が持ち出され再婚することに。

結婚式の日、めんどりは殺され鳥料理になる。
そのことを知り泣きわめく初美。新しいお母さんにやさしくされなんとか落ち着く初美。

新しいお母さんはひよこを三匹連れてきて、三人の子供は大事に育てる。
数ヶ月経ったある日、三十郎が、外でにわとりの声が聞こえたので、表へ出てみるとにわとりが太陽へ向かって飛んでいくところだった。

喜んだ初美。
p220
「また来ておくれよう。エプロンかけて、魔法の道具持って、いつかきっと、来ておくれよう。」
 初美は、このときはっきりと思ったのです。
 いつか、いつか、あのにわとりたちは、もどってくくれると。自分がこまったときには、~中略~新しい白いエプロンかけて、きっときっとたすけにきてくれると。」

人間の勝手さと欲望を描きながらも、子どもの心の優しさ、そして希望を持ったエンディング、素晴らしい作品だ。
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