白いおうむの森 [文学 日本 安房直子 さ行]
スダア宝石店というインド人が経営している店がある。入口には白いおうむがいて「こんにちは」と話しかけてくる。みずえという女の子と、その飼い猫ミーは、よく一緒にこのおうむを見に、スダア宝石店へ行っていた。みずえは、このおうむに、死んでしまった自分のお姉さんの名前を教え込もうとしていた。だれかが、「この世界にいる者で、死んだ人の国へいけるのは、鳥だけなのだ」と言っていたから、このおうむにお姉さんへの手紙を届けてもらおうと思っていたのだ。
そんなある日、店からおうむがいなくなってしまっていた。インド人に「おうむはどこにいるの?」とたずねると、インド人もみずえに「おうむはどこにいるの?」とたずねてくる。インド人はねこのミーがおうむを食べてしまったと思っていたのだ。
それから何日かしてねこのミーもいなくなり、インド人にさらわれたと思い込んだみずえは、スダア宝石店へと向かう。すると店の奥で猫の鳴き声がし、下へ向かう階段がある。ねこの鳴き声をおって階段をどんどん降りていくと、ミーがいた。そこでミーに話しかけると、おうむの声で、「こんにちは」と返してきた。すると闇の底がふっと明るくなり、そこにお姉さんがいると思ったみずえはさらに階段を下りていく。
大きな森へついたみずえは、そこで「夏子姉さん」に会う。夏子姉さんによると、みずえのおとうさんもおかあさんも、みずえにメッセージを伝えるためにおうむを飼っていたことを知る。そしてインド人も死んでしまった大事な人に何かを伝えるためにおうむを飼っていたんじゃないかと考える。
しかしこの森は鬼が来る恐ろしい場所らしい。本当は花が咲き誇る美しいところがあるのだが、そこに行くには導いてくれるおうむが必要らしい。おねえさんは、ミーに注目し、ミーに道案内をしてくるよう頼み、周りの人間もミーにたのもうとするが、あの世へミーが連れて行かれると思ったみずえは、ミーを連れて元の世界へ逃げ帰る。
スダア宝石店へ戻ると、インド人が待っていた。インド人も婚約者を亡くしていたことを知る。彼のためにミーを貸してあげ、ミーとインド人は階段を下りていく。そして彼らは二度と帰ってこない・・・。
かなり悲しい話であるが、希望を感じさせる心が温かくなる素敵な作品。次男もかなり気に入っていた。
2023-06-03 03:46
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