だれにも見えないベランダ [文学 日本 安房直子 た行]
ある町に、お金にならない仕事ばかり引き受けてしまう気のいい大工さんがいた。
ある日、猫がやってきて、ベランダをひとつ作って欲しい、と頼まれる。話を聞くとお世話になっている娘さんのためらしい。次の日早速ベランダを作ってあげに行こうとすると、すずめや鳩まで同じ場所にベランダを作ってくれと頼んでくるしまつ。
現地へ行くと猫が待っている。詳しく話を聞くと、その娘さんは、怪我をした猫を助けてくれたり、鳥たちにご飯をあげたりしてくれているらしい。
つくってあげよう、と思ったものの勝手に作っていいものかと悩んでいると、猫が魔法をかけ、外からは見えないようにしてくれるらしい。早速作ってあげて家にかえる。
それから数ヶ月すると、その娘さんから、ベランダのお礼として野菜がたっぷり届く。5月にはいちごが届き、6月にはバラがいっぱい届く。バラの香りに包まれて寝ていると、夜中に誰かが窓を叩く。開けてみると猫と娘さんがベランダに乗って待っている。大工さんはベランダに乗って、雲に向かって飛んでいく。
真面目で気のいい職人さんが、心の美しい女性と結ばれるほっこりする話。色んな単行本に収録されるのもわかる。
2023-06-11 14:22
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