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鶴の家 [文学 日本 安房直子 た行]


白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

白いおうむの森―童話集 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本



猟師の長吉さんが、結婚した夜。「おめでとさんです」と言って知らない女性がやってきて、青いお皿をお祝いにくれる。いったい誰だったのだろう、と二人で考えているうちに、長吉さんはハッとして、実はこの間間違えて撃ち落としてしまった、絶滅危惧種の丹頂鶴だったのではと思う。

恐ろしくなった二人はしばらくこのお皿をしまっておいた。

ある日嫁さんがこのお皿におにぎりをよそってみるととてもおいしい。それ以来このお皿を使うようになり、どんどん長吉さんは太っていき、獲物もどんどんとれるようになり、いつしか家も大きくなり、こどもも八人できる。

どんどん家も栄え、孫もできて、長吉さんはぽっくり逝ってしまう。すると不思議なことに、青いお皿に鶴の絵が浮かび上がってくる。おばあさんは、「あの人のたましいだ」と思うが、家族には黙っている。

ときは経ち、子どもたちが戦争に行くことに。初めは連絡が来ていたがそのうち連絡が途絶える。するとお皿に3羽の鶴が浮かび上がる。おばあさんが息子たちが死んでしまったと嘆いていると、嫁たちはおばあさんが気が狂ってしまったと思う。しかし数日後、それぞれの戦死の報が届く。

その後も家族のものが死ぬたびに鶴の絵は増えていく。それに気がついていたのは孫の春子だけだった。

春子が結婚する日。春子が鶴の青い皿を眺めていると、鶴の羽ばたきと鳴き声がお皿の中から湧き上がってくる気がする。皿は春子の手から離れ床に落ち割れてしまう。すると何羽もの鶴が空へ飛び立っていく。

それをみた人々は、結婚式の日に鶴が何羽も飛び立つなんて幸運のしるしだ、と思う。

殺してしまった鶴に恩返し(?)をされる、なんとも心温まる話。
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