あの世からの火 [文学 日本 松谷みよ子 直樹とゆう子]
直樹とゆう子のシリーズ五作目。最終作
最後は、前回出てきた従兄弟エリコが所有する山荘の管理人、みすずさんの朝鮮からの引き上げ話のテープをゆう子が書き起こすという設定。藤原ていの『流れる星は生きている』に近い作品ではあるが、もっと日本の戦争責任を追求した本になっている。
今までの四作と違い、ミステリー的な要素は薄く、ひとりの人間の半生をたどる作品になっている。しかし松谷みよ子特有の民話的要素も混じっており、結構楽しく、かつ考えさせられながら読めた。
かなり良いシリーズだと思う。
交響曲第一番 ホ長調 Op.26 [スクリャービン 交響曲]
第一楽章
★★★★★★☆☆☆☆
牧歌的で広がりのある美しい序奏で始まる。笛の音、ピッチカートの音が鳴り、少し世界が起きだしてくるイメージとなる。再び静かになり、壮大な雰囲気で終わる。
第二楽章
★★★★★★☆☆☆☆
力強く先頭的な主題で始まる。第二主題は管楽器による牧歌的なもの。しかし段々と盛り上がり第一主題と交じり合う。展開部はシベリウスの交響曲第二番第四楽章を彷彿とさせる壮大なもの。第一主題が力強く回帰され、その後牧歌的な第二主題が美しく奏でられる。最後は力強く終わる。
第三楽章
★★★★★★☆☆☆☆
管楽器から始まった非常に息の長い美しくゆったりとしたメロディが、段々と弦に引き継がれる。中間部は少し不穏な緊張感のある勇ましい感じになる。はじめの主題に戻り静かに終わる。
第四楽章
★★★★★★☆☆☆☆
快活なスケルツォ楽章。牧歌的ながら生き生きとしていて美しい。
第五楽章
★★★★★★☆☆☆☆
決然とした第一主題で始まり、悠々とした第二主題で受ける。段々と悲劇性をおびていく。悠々とした展開部の後、決然と終わる。
第六楽章
★★★★★★★☆☆☆
高音の牧歌的な前奏で始まる。メゾとテノールが深く穏やかな旋律を順番に歌う。対位法的な短いやりとりがしばらく続いた後、牧歌的な間奏が入る。その後再び穏やかな旋律が続くが、段々とオケが激しくなっていき、メゾとテノールの重唱となる。後半天国を表すかのような合唱となる。壮大なフーガとなって壮麗に終わる。
全体的に聴きやすいメロディが多く、悪くはない。