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オリジナル版 英霊の聲 [文学 日本 Classic]


英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫)

英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2005/10/05
  • メディア: 文庫



2・26事件を扱った3作品を集めた作品集
1.英霊の聲
2.憂国
3.十日の菊

1、2は小説で、3は戯曲。
1は、戦後神社で、祝詞を上げているとき、盲目の神主をつとめた若者の体を借りて、2・26事件で決起した若者たちの霊と、神風特攻隊で死んでいった霊が、天皇の裏切りを責める声をあげる。
文体が古く堅苦しいので読みづらい部分はあるが、かなり真に迫っており読み応えがある。

2は、素晴らしい作品。新婚ということで、2・26事件の決起から自分の知らない間に外されてしまい、仲間たちを捕まえなければならない立場に追い込まれた軍人が、妻とともに自害する作品。本当に短い時間を描いた作品なのだが、美しい性描写とこれ以上ない程美しく純粋で真っ直ぐな心を描いた文章に心打たれる。村上春樹の性描写は気持ち悪く読むに耐えないが、三島由紀夫のこの描写は本当に素晴らしい。三島由紀夫は右翼などと言われるが、全くそんなことはなく、天皇の戦争責任を追求し、天皇の名のもとに死んで至った若者たちの美しい心に敬意を抱いていたことが分かる。傑作。

3は、2・26事件で女中頭に助けられた大蔵大臣のその後を描いた作品。助けられた人間と助けた人間の心のあいだを埋めるものはない。結局特権階級で助けられる、仕えられることしかしらない人間は、そういう物の見方からしか物事を見られず、いつまでたっても自己本位で生きるしかない。しかし他者を助けるために自己を抑えたと思われる人間も、実は自分本位なのではないかと問いかける作品。若干ニーチェを彷彿とさせる。

『金閣寺』「仮面の告白』『潮騒』など、三島由紀夫の傑作と呼ばれる作品をいくつか読んだが、正直ぱっとしなかった。しかしこの作品集は素晴らしかった。三島の心の真っ直ぐさが分かる素晴らしい本だと思う。是非多くの人に読んでもらいたい。
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変奏曲 [フィールド]





Fal Lal La
★★★★★☆☆☆☆☆
非常に端正な古典的な主題。色々と変奏されるがそんなに面白い変奏ではない。普通。

Since then I'm doomed
★★★★☆☆☆☆☆☆
「その時以来、私は沈んでいる」という意味。doomedという単語から連想されるほど、絶望的な暗い感じの主題ではなく、「何となく憂鬱」という感じの主題。

Logie of Buchan
★★★★★☆☆☆☆☆
少しけだるい感じの主題。ゆったりとした感じで進む曲。

Kamarinskaya
★★★★☆☆☆☆☆☆
ゆったりとした普通の主題。途中かなり激しい変奏がある。

Air du bon Roi Henry 4
★★★★★☆☆☆☆☆
物憂げな悲しそうな主題。古典的な佇まいの曲。

chanson russe variee
★★★★★☆☆☆☆☆
少し悲しげな主題。緊張感のある変奏でそれなりに聴き応えがある。

Within a mile of Edinboro Town
★★★★★☆☆☆☆☆
物憂げな休日の午後をおもわせる優しい旋律。
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