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Luisa Miller (ルイーザ・ミラー) [オペラ イタリア ヴェルディ]


ヴェルディ:歌劇≪ルイーザ・ミラー≫ [Blu-ray]

ヴェルディ:歌劇≪ルイーザ・ミラー≫ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • 発売日: 2013/09/25
  • メディア: Blu-ray



ストーリー:★★★★★★★★☆☆
アリア  :★★★★★★★★☆☆
音楽全体 :★★★★★★★☆☆☆

ヴェルディの14作目。シラーの『たくらみと恋』をオペラ化した作品らしい。

特に序曲が素晴らしい。同じ力強くも心打たれる美しい旋律がひたすら流れてくるので、何とも心地よい気分になれる。

第一幕
ヒロイン・ルイーザの誕生日を祝う合唱。楽しげで綺麗な曲。その後ルイーザ、ルイーザの父ミラー、ルイーザの恋人ロドルフォとが次々に歌うのだがその全てが美しく伸びやかなメロディ。この楽章は重唱曲も多く、美しい。

第二幕
ルイーザの父親が捉えられていることを人々が彼女に伝える場面から始まる。とにかく陰謀が渦巻く幕で、暗く悲劇的な雰囲気が強い。
ヒロイン・ルイーザと、ロドルフォと結婚予定のフェデリカの女性二重唱がとても美しく、力強いメロディも素晴らしい。そのあとにやってくるルイーザのオケ伴奏なしのアリアが美しすぎる。
次の場面で歌われるロドルフォの控えめなオケ伴奏によるアリアもとても綺麗。とにかく後半が美メロの嵐。

第三幕
ルイーザを心配する民衆の合唱で始まるのだが、この合唱はとても綺麗。そのあとに出てくるルイーザの祈りのアリアも美しい。
最後は、ロドルフォとルイーザの凄まじい二重唱となり、二人は死ぬ。

ヒロインの父役に、ルオ・ヌッチ。彼が出ている『リゴレット』のDVDも見たことがあるのだが、とにかく彼の父親役は素晴らしい。ロドルフォ役のマルセロ・アルバレスも『ラ・ボエーム』のDVDで見たことがあり、伸びやかで綺麗な歌声。とにかくこの二人が素晴らしいので、素晴らしい音楽に聞こえたのかもしれないが、シラー原作ということもあり素晴らしい作品。


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エプロンをかけためんどり [文学 日本 安房直子 あ行]


遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

遠い野ばらの村 (偕成社文庫)

  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 単行本



安房直子さんの作品にしては珍しく登場人物たちに名前が付いた作品。

三人の子どもがいる、お百姓の三十郎。
一番上の初美 5つ
二番目の志津 3つ
政吉     赤んぼう

一番下の子が生まれると、おかみさんは病気でなくなってしまい、三十郎は泣いて過ごし、子どもたちはお腹を空かせ家は荒れ放題に・・・。

そんな時、「エプロンをかけためんどり」がやってくる。このめんどりはかつておかみさんが可愛がっていてめんどりで、太陽へ向かって飛び立ってしまっためんどりだった。

このめんどりが魔法の道具を使って、お料理、お洗濯、お掃除、寝かしつけまで家のことは何でもやってくれる。一番上の初美はこのめんどりになつき、夜皆が寝静まったあと、押入れの中に入りふろしきを広げ夢のような世界を見せてもらう。

しばらくこのめんどりに世話になりっぱなしだった三十郎。慣れてくると子どもがこのめんどりになついていることが気に入らなくなってくる。そんなある日三十郎に再婚話が持ち出され再婚することに。

結婚式の日、めんどりは殺され鳥料理になる。
そのことを知り泣きわめく初美。新しいお母さんにやさしくされなんとか落ち着く初美。

新しいお母さんはひよこを三匹連れてきて、三人の子供は大事に育てる。
数ヶ月経ったある日、三十郎が、外でにわとりの声が聞こえたので、表へ出てみるとにわとりが太陽へ向かって飛んでいくところだった。

喜んだ初美。
p220
「また来ておくれよう。エプロンかけて、魔法の道具持って、いつかきっと、来ておくれよう。」
 初美は、このときはっきりと思ったのです。
 いつか、いつか、あのにわとりたちは、もどってくくれると。自分がこまったときには、~中略~新しい白いエプロンかけて、きっときっとたすけにきてくれると。」

人間の勝手さと欲望を描きながらも、子どもの心の優しさ、そして希望を持ったエンディング、素晴らしい作品だ。
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