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行進曲 [エルガー]


Elgar: Orchestral Works, Cello Concerto, Sea Pictures, Dream of Gerontius (7CD: New Budget Box)

Elgar: Orchestral Works, Cello Concerto, Sea Pictures, Dream of Gerontius (7CD: New Budget Box)

  • アーティスト: John Barbirolli
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2022/03/25
  • メディア: CD



第1曲
★★★★★★★★★☆
「威風堂々」として有名な、イギリスの第二の国家とも呼ばれる名曲。「愛の挨拶」と並ぶ、エルガーの代名詞的な作品。堂々とした行進曲のあと流れる高貴で美しいメロディは本当に素晴らしい。

第2曲
★★★★★★★☆☆☆
悲劇的な序奏で始まり、少し悲壮感のある勇ましい行進曲が始まる。ファンファーレ的な管楽器の音がなり英雄的な感じになっていく。途中少し優美なところもある。最後は勇ましく終わる。

第3曲
★★★★★★☆☆☆☆
不安げな感じで始まる。少し劇的になった後、鄙びた美しいメロディとなる。再び劇的になり派手に終わる。

第4曲
★★★★★★★☆☆☆
結構優美に始まる。舞踏会の音楽のような高貴な感じ。中間部の伸びやかな部分もとても綺麗。常に高貴で美しい音楽。

第5曲
★★★★★★☆☆☆☆
元気に楽しく始まる。中間部の滑らかな優美な部分も綺麗。

有名な第一曲以外もそれなりに楽しめるエルガーの中ではメロディが美しい作品集。
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小箱 長編⑲ [文学 日本 小川洋子 長編]


小箱

小箱

  • 作者: 小川洋子
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/10/07
  • メディア: 単行本



久しぶりの長編作品。
最近出版された短編集はもう一歩だなあ、と思うものが多かったが、やはり長編は面白い。

主人公は、何故だか使われなくなった幼稚園を、そのままの形で残して住んでいる、ピアノを弾く女性。彼女は、ここに住みながら、どんどん持ち込まれる死んだ子供の遺品を講堂へ収納しそれを管理している。

人々は死んでしまった子供の髪の毛を弦に用いて、竪琴を作っている。この竪琴はじめ、様々な小さな楽器を耳に当て、「一人一人の音楽会」という丘の広場で催される音楽界に参加する。音楽会とは言え一人ひとりが耳に当てられた楽器が風の音でなるのを静かに聴く音楽会であり観客には音は全く聞こえない。

子供の遺品を見たり、そこに何かを加えたりするために人々はよく訪れるのだが、人々は示し合わせたように、幼稚園で誰かと出くわすことはない。

そんな遺品を管理し、遺品を預けている人々に訪れられる元幼稚園だが、遺品のためではなくここを訪れる人がいる。

バリトンさんと呼ばれる、話し言葉がすべて歌になってしまう男性と、クリーニング屋の女性だ。
バリトンさんは恋人からくる、小さい文字で書かれた暗号のような手紙を解読してもらうために主人公のもとを訪れる。恐らく主人公はこのバリトンさんに恋をしている。
クリーニング屋さんはかつての自分の子どもを懐かしむように、幼稚園の遊具で一通り遊び帰っていく。

もうひとり、主人公の従兄弟で子どもをなくしてしまい、その子供がかつて歩いたところ以外は歩けなくなってしまった、美味しい移動式お弁当屋を自転車を使って営む女性が出てくる。主人公は彼女のために図書館から本を毎週借り出してあげている。

とにかく少ない登場人物で、特に目立った出来事は起こらないし、はっきりと子どもたちがいなくなってしまった理由なども語られず、淡々と進んでいく物語。バリトンさんの恋人がなくなってしまう部分も全く劇的ではなくとにかく静か。

静かな静かな物語だが、何となく胸をざわつかされる物語だ。


印象に残っている言葉たち。

p117
「結局は、どれを選んだっていいのよ。人間より長生きしているというだけで、大事な本だと証明されているのと同じだから。」
「今、自分が読んでいるのと同じページを、今はここにいない誰かも読んだ、と思うだけで安堵できない?」

p128
「繰り返し見ているうちに、実はほんの少しずつ、どこかが変わっているのかもしれない」
「いや、あまりにもわずかずつ、沈黙のうちに現れる変化だから、気づかないのよ」
「ええ、何度も何度も何度も何度も時間を巻き戻しているうちに、過去と自分の我慢比べになって、とうとう過去の方が先に力尽きるの」

記憶の大切さと儚さを表す言葉たちのように思える。
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ファルスタッフ Op.68 [エルガー]


Elgar: Orchestral Works, Cello Concerto, Sea Pictures, Dream of Gerontius (7CD: New Budget Box)

Elgar: Orchestral Works, Cello Concerto, Sea Pictures, Dream of Gerontius (7CD: New Budget Box)

  • アーティスト: John Barbirolli
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2022/03/25
  • メディア: CD



シェイクスピアの『ヘンリ4世』を音楽化したもの

第1曲 ファルスタッフとハル王子
★★★★★★☆☆☆☆
元気で前向きな音楽。

第2曲 ファルスタッフの悪戯の回想
★★★★★★☆☆☆☆
少し滑稽な雰囲気で始まる。その後少し英雄的になったり、幻想的になったり、混沌としてきたりと、確かにファルスタッフの様々な経験が目に浮かんでくる。最後は眠りにつくかのように、ゆったりと重々しくあくびのような感じの音を弦が出しながら終わる。

第3曲 夢(間奏曲)
★★★★★★☆☆☆☆
弦の音が優美でありながらどこか不安げ。ハープの音と絡み合い幻想的な雰囲気を作っている。結構綺麗な楽章。

第4曲 ファルスタッフの行進
★★★★★★☆☆☆☆
行進曲でありながら、どこかユーモラスな感じがファルスタッフらしい。中間部は、悲劇的な感じで盛り上がっていく。

第5曲 浅瀬の果樹園(間奏曲)
★★★★★★☆☆☆☆
若干牧歌的な音楽。管楽器の乾いた音が綺麗。後半盛り上がりそのままフィナーレへとなだれ込む。

第6曲 フィナーレ
★★★★★★☆☆☆☆
力強い戦いの音楽で始まる。最後ハープの音と共に音楽は静かになっていき、眠りにつくかのように静かに終わる。

リヒャルト・シュトラウスの『ドン・キホーテ』をおもわせる面白い音楽ではある。
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