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あとは切手を、一枚貼るだけ [文学 日本 小川洋子]


あとは切手を、一枚貼るだけ (中公文庫 お 51-7)

あとは切手を、一枚貼るだけ (中公文庫 お 51-7)

  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2022/06/22
  • メディア: 文庫



本屋で、違う本を探していたら偶然目に入り、自分が小川洋子Yearであり、文庫本だったこともあり、思わず買ってしまった。

堀江敏幸という名前の作家は聞いたことがあり、なんとなく浮遊感のあるつかみどころのない作品を書く人だ、という印象があり、結構小川洋子さんとの相性は良いのではと思い読み始めた。

形としては、
奇数章:小川洋子
偶数賞:堀江敏幸
となっており、往復書簡のような形となっている。しょっぱなから衝撃的で、女性である「私」は「まぶたをずっと、閉じたままでいることに決めた」らしい。それに対して、男声側の「ぼく」も目が見えなくなってしまったらしく、現在物事を見ることのできない二人が、過去を回想しながら様々な事象を語り合う。

全14章なのだが、二人の関係を明確に定められるような描写はなく、かつて二人は恋人同士で、一緒に暮らしたこともあるっぽく、よく船に乗っていたということくらいしかわからない。様々な本が取り上げられ、そこからいろいろな話題が展開される。

最後に二人の対談も収録されており、この作品が綿密な計画を練って作られた作品でないことがわかる。まさにそんな感じで、終始「どこに連れて行かれるのだろう」というモヤモヤした感じでずっと読まされることになった。最後のほうで、若干物語は劇的になるのだが、基本はモノローグであり、結構読みづらい。特に堀江側の偶数章は、結構きつい。

もういっかい読むと様々なものが見えてくるのだろうが、もういっかいじっくり読みたい作品ではない。
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歌劇『放浪学者』 Op.50 [ホルスト]


The Collector's Edition: Gustav Holst

The Collector's Edition: Gustav Holst

  • アーティスト: Holst, G.
  • 出版社/メーカー: Warner Classics
  • 発売日: 2012/06/04
  • メディア: CD



★★★★★☆☆☆☆☆

一幕ものの室内オペラらしい。
農夫とその妻、神父、放浪学者のドタバタ劇っぽい。

はじめに、農夫と妻の楽しげな対話が続く。妻が農夫に買い物を頼んでいるところらしい。
その後、妻の少し憂鬱な感じの長いモノローグ場面となる。
そこに、いやらしい声の神父が入ってきて、少し諧謔的な対話となる。
そこへ、誰かがやってきて緊張感が走る。テノールの伸びやかな声の放浪学者が姿をあらわし、神父と妻と緊張感ある対話をする。結局追い出された放浪学者。
再び、妻と親父の対話となり、少し親しげな雰囲気となる。
夫が帰ってきた様子を感じ取り、焦る二人。かなり動揺している様子がうまく音楽で表されている。
舞台裏から、夫と放浪学者の楽しげな声が鳴り響く。笑い声も聞こえる。
舞台上に登場した二人と妻が会話をする。ゆったりとした夫に対し、緊張感のある妻。
何かを感じ取り懐疑的な夫。焦る妻。緊張感が高まる。
最後は夫が神父を数を数えながら懲らしめて終わる。

まあ、聴いてて楽しくはあるが、音楽的にはなんてことはない。
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