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宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて [その他 本]


今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて (講談社現代新書100)

今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて (講談社現代新書100)

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/10/14
  • メディア: Kindle版



講談社現代新書から「現代新書100」というシリーズが昨年から公刊されている。

第一回配本のアーレント、ショーペンハウアーに続き、続々と公刊されており、フロムやマルクス、福沢諭吉に混じって、宇沢弘文なる人物の本があった。恥ずかしながら私はこの人を全く知らなかったのだが、少し見ると、『自動車の社会的費用』という本を書いた人だということがわかり、私が勤める学校の高校生に対するオススメ本の中の一冊にあげられていたのだが未読だった本だとわかり、俄然興味がわいてきて図書館で借りて、この『今を生きる思想 宇沢弘文』を読んでみた。

彼の生涯を辿りながら、数学者としての道を嘱望されながらも、社会的な問題に関わりたいということで経済学に転校し、アメリカで認められ名を上げるが、盟友たちがアメリカ政府に重用されるようになり、ヴェトナム戦争へと入っていき、共産主義者を迫害するアメリカに嫌気が差し、イギリスそして日本へと戻ってくるあたりは、本当に素晴らしい人だったんだなあと思う。

日本に帰ってからも、環境問題に目を向け、そうした視点で経済学を考えていたというのがとにかく素晴らしい。こんなに素晴らしい経済学者が日本にはいるのに、どうして日本の経済・教育は短期的で自己中心的で、どうしようもない視点しか持てないのかが不思議だ。

p.81
「ひとりひとりが自分自身の人生をまっとうできるような社会環境をつくる。それが経済学者の使命であるはずだ。本来の経済学を求めて、宇沢は日本で新たな歩みを始めた。」

学問とは本来、人間がよりよく生きるための手助けにならなくてはならないはずだ。それが今の世界、特に日本では、大きくかけ離れてしまっている気がする。

p.89
「『自動車の社会的費用』が主流派(新古典派)から逸脱しているとすれば、社会的価値判断の問題に踏み込んだからだ。なぜ宇沢があえて禁を犯したかといえば、社会的価値判断をおろそかにする姿勢が戦争や公害への無関心を招き、しばしば経済学者を反社会的な言動に走らせるからである。

これは、政治家にも教育者にも言える。

以下は『自動車の社会的費用』の一節の引用らしく、孫引きになってしまうが載せておきたい。

p.90
「環境破壊がおきたとき、あるいはおきると予想されるときに、所得水準の高い人々は、より環境の良好な場所に移り住むことが可能である。しかし低所得者階層は、経済的あるいは職業的な事情によって、たとえ環境が汚染されていても移るということが困難な場合が多い。したがって、環境破壊によって、名目所得の分配にかんする不平等性がさらに拡大されたかたちで、実質的生活水準の不平等となってあらわれることになる。」

これは原発も含め、危険なものが社会的に使用される時には常に言える。

pp.125~126
「資本主義の現状に疑問や批判が投げかけられているのは、豊かさをもたらすはずの市場機構が、環境を破壊し、人間の尊厳を損ねる働きさえしている、と広く受け止められるようになっているからだ。」
~中略~
「「社会的共通資本は、一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立を支え、市民の基本的権利を最大限に維持するために、不可欠の役割を果たすものである。」」

日本は、宇沢の思想を真剣に考え、取り入れなければならない時期に来ているのではないだろうか。
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Missa Brevis Op.63 [ブリテン 合唱曲]

1. キリエ・イレイソン
★★★★★★☆☆☆☆
少年合唱。「キリエ・イレイソン」と言っているだけだが、オルガンの音と相まって幻想的でとても美しい。

2. グローリア・イン・エクセルシスデオ
★★★★★★☆☆☆☆
少しドラマティックな跳ねた感じのグローリア。

3. サンクトゥス ベネディクトゥス
★★★★★★☆☆☆☆
フーガ的な美しく、幻想的なサンクトゥスのあと、ゆったりとした穏やかなベネディクトゥスとなる。

4. アニュス・デイ
★★★★★★☆☆☆☆
少し不気味な感じで始まる。そのまま曲は進み、突然終わる。

幻想的かつ可愛らしい曲で聴きやすい。

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A Hymn to St. Peter Op.56 [ブリテン 合唱曲]

a.
★★★★☆☆☆☆☆☆
壮麗なオルガンの前奏の後、力強い合唱が入ってくる。
その後、四声の合唱が掛け合いのような感じで、跳ねたメロディをささやきあう。
少しゆったりとしたドラマティックなオルガンの音がなった後、ソロと合唱の静かな「ハレルヤ」コーラスとなり、そのまま静かに終わる。

b. Antiphon(交唱歌・聖歌)
★★★★☆☆☆☆☆☆
オルガンの不協和音で始まるが、歌が入ると美しいコーラスとなり、ソロも入ってくる。
その後、ドラマティックな感じと、幻想的な感じが入り混じったソロと合唱の掛け合いとなる。

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A Wedding Anthem Op.46 [ブリテン 合唱曲]

評価
★★★★☆☆☆☆☆☆
オルガンの壮麗の音ともに始まり、はじめ「アヴェ・マリア」が連呼され(てい)る(のだとおもう)。
天使たちが自由に飛び回りながら賛美している感じで曲は進む。
途中ソプラノがソロで少し悲しげなメロディを歌う。
静かに合唱が「アヴェ・マリア」を歌った後、今度はテノールがソロで悲しげなメロディを歌う。
後半混沌としてくるが、最後はソプラノとテノールが美しい二重唱で「アーメン」を歌って終わる。
10分弱の長い曲。

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Festival Te Deum op.32 [ブリテン 合唱曲]

評価
★★★★★☆☆☆☆☆
オルガンの壮大な短い前奏のあと、清々しく広がりのある合唱となる。
その後、少しトッカータ風のドラマティックな雰囲気となる。
最後は崇高な感じとなり、天に昇っていくような感じで終わる。
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Chrale after an old French Carol 1944 [ブリテン 合唱曲]

評価
★★★★☆☆☆☆☆☆
寒い冬の中、暖かい暖炉の前で憩う家族が思い浮かぶような、ゆったりとしたしみじみとした曲。
そこまで魅力的な曲ではない。
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