自然の中で Op.91 [ドヴォルザーク 管弦楽曲]
チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104 [ドヴォルザーク 協奏曲]
1.Allegro
★★★★★★★★★☆
若干物悲しいが勇壮なメロディー若干優雅なメロディー決然としたブリッジというドヴォルザークにしては長いオーケストラだけの演奏を経て、チェロがオケと同じ主題を朗々と奏でる。優しく語りかけるような美しい旋律の第二主題も素晴らしい。第一主題のメロディを活かした長く壮大な展開部を経て、華やかな宮廷的なメロディが登場する。カデンツァの後、明るく第一主題が奏でられ華やかに堂々と終わる。
2.Adagio ma non troppo
★★★★★★★☆☆☆
牧歌的な短い前奏の後、独奏チェロが安らぎに満ちたメロディを奏でる。
その後、オケとチェロの優しい対話となる。
続いて、悲しげなメロディが登場するが、オーケストラがそれを慰めるように高音で優しいメロディを奏でる。
途中かなり感情的に高まった感じになるが、最後は穏やかに静かに終わる。
3.Allegro moderato
★★★★★★★☆☆☆
迫ってくるような短い前奏の後、哀愁漂う民族色豊かなメロディが独奏チェロによって奏でられる。その後も悲しげながら生き生きとした雰囲気で曲は進む。
途中華やかで高貴なメロディが登場する。段々と明るく華やかな感じになっていく。
後半、静かに穏やかになっていくが、最後は壮大に華やかに終わる。
谷間の百合 [文学 フランス]
同僚から、バルザックの作品は面白い、と言われたのもあるし、結構色んなところで『ゴリオ爺さん』が言及されているのもあり、新潮文庫から出ているバルザック作品『ゴリオ爺さん』と『谷間の百合』を購入した。
まずは、どちらかというとマイナーな『谷間の百合』を読んでみた。
色んな本を読んでいるし、哲学書も何冊も読んでいるのだが、とにかく段落分けの少なさに驚いた。哲学書や学術書であればそれなりに覚悟して読み始めるのでまだ、良いのだが、一応小説ということで、会話文などもあるだろうし、ある程度読みやすいだろう、という先入観もあるのが悪かったのと思うのだが、とにかく会話文が少ない。
主人公の男性、フェリックスが、現在の恋人ナタリーに、「昔の恋の思い出」を手紙にして送ったその手紙という体をとっているからなのか、とにかく自然描写や自分の当時の内面などが綿密に詳細に綴られており、時に哲学的な考察なども入ってくるので結構読みすすすめるのに苦労する。
あとがきにもあるのだが、同じフランス文学、ラ・ファイエット夫人著『クレーブの奥方』、ルソー著『新エロイーズ』に通じる、許されぬ恋をし、そのまま肉体関係にいたらずプラトニックな関係を続けることによる悲劇という感じの書。
ドロドロした恋愛小説や、無意味な性描写が多い小説を好まない私としては、こういった類の小説は好みに合っているはずなのだが、結構どれも読み進めるのが辛い。今回もかなり苦戦した。
前半部の、青年フェリックスが美しいモルソフ伯爵夫人に恋をし、距離を縮めながらもなかなか相手の心に入り込めない箇所や、モルソフ夫人を愛しながらも、ほかの女性と肉体関係を結んでしまうあたりなど、読んでいて一番楽しいはずの部分が何故か結構苦痛だった。
しかし、後半のモルソフ夫人が、フェリックスが悶々としていた時期、どういう想いで生きていたのかが明かされる後半の手紙部分が圧巻で、このあたりから一気に面白くなる。前半部のもやっとしている部分があるからこそ、後半部の真実が見える部分が生きるのであろうが、何しろ辛かった。
もう一度是非読みたい、という類の本ではないが、結果としてはそれなりに楽しめた。