いつか晴れた日に [映画 ジェイン・オースティン]
Jane Austen原作、エマ・トンプソン、ケイト・ウィンスレット主演、アカデミー賞受賞作品。
『知性と感性』という題名だけ見るとつまらなそうな作品だが、すばらしく美しい恋愛物語。
常に冷静で自分の感情を抑えて生きる姉エリノアと自分の感情の赴くままに自由奔放に生きるマリアンヌの対照的な二人の恋愛を描いた作品で、結局最後は二人共素敵な男性と結ばれる。しかも、ほかのよくある小説のように、この男と結局は結ばれちゃったの?的なところがなく、やっぱりこの人と結ばれたのね、よかった、と思えるエンディングなのが、Austenの素晴らしいところ。
物語の最後、常に冷静で自分を抑えてきたエマ・トンプソン演じるエリノアが感情を抑えながらも嗚咽してしまうところが感動的。三女のマーガレットもとても愛らしく、非常に良い味を出している。
エマ・トンプソンとケイト・ウィンスレットの演技が素晴らしすぎるので、
わたしの大好きな映画で、ベスト5に入る名作。
今回3~4度目だが、やはり面白く感動的だった。
だれにも見えないベランダ [文学 日本 安房直子 た行]
ある町に、お金にならない仕事ばかり引き受けてしまう気のいい大工さんがいた。
ある日、猫がやってきて、ベランダをひとつ作って欲しい、と頼まれる。話を聞くとお世話になっている娘さんのためらしい。次の日早速ベランダを作ってあげに行こうとすると、すずめや鳩まで同じ場所にベランダを作ってくれと頼んでくるしまつ。
現地へ行くと猫が待っている。詳しく話を聞くと、その娘さんは、怪我をした猫を助けてくれたり、鳥たちにご飯をあげたりしてくれているらしい。
つくってあげよう、と思ったものの勝手に作っていいものかと悩んでいると、猫が魔法をかけ、外からは見えないようにしてくれるらしい。早速作ってあげて家にかえる。
それから数ヶ月すると、その娘さんから、ベランダのお礼として野菜がたっぷり届く。5月にはいちごが届き、6月にはバラがいっぱい届く。バラの香りに包まれて寝ていると、夜中に誰かが窓を叩く。開けてみると猫と娘さんがベランダに乗って待っている。大工さんはベランダに乗って、雲に向かって飛んでいく。
真面目で気のいい職人さんが、心の美しい女性と結ばれるほっこりする話。色んな単行本に収録されるのもわかる。
空色のゆりいす [文学 日本 安房直子 さ行]
いすつくりとそのおかみさんに女の子が生まれる。空がとても青い日だった。しかしその子はうまれつき目が見えなかった。自分の子供には色が見えないんだ、と悲しんでいたところ、絵の具を使って絵を描いている小さな男のこと出会う。彼は絵の具を調合して空の色を作って、空の絵を描いていた。
自分の作ったゆりいすを空色にしようと、彼が調合した空色の絵の具をくれるよう頼む。彼は次の日その絵の具を持ってきてくれる。いすつくりはその絵の具で娘のために作ったゆりいすを空色に塗り、彼女はそこに座って空色を知ることになる。
娘が5歳になった頃、あの男の子がやってくる。いすつくりは、今度は女の子に花の色を教えたい、と男の子に赤い色を頼む。シチューを食べながらいろいろ話すうちに、この子が風の子だとわかる。この風の子は、ばら園に忍び込み、バラの色で作った赤を女の子に渡す。女の子は、「来年は海の色がほしい」とお願いする。
風の子は海に頼んで、海の色を作ろうとするが、うまくいかなかった。しかし海から歌を習い、女の子に歌って教えてあげる。こうして女の子は海を知る。
女の子が15歳になったとき、おかみさんにならってシチューを作れるようになった。
ある秋の日、背の高い若者が、いすつくりの弟子になりたいとやってくる。若者は仕事場で海の歌を歌う。その歌が昔少年が自分に教えてくれた歌だと気付いた女の子は「やっぱりあなたなのね」と喜び、二人は結ばれる。
幻想的で、温かい話。
Piano Trio In A Minor JS. 207 Haftrask [シベリウス 室内楽曲]
The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2
- 出版社/メーカー: Bis
- 発売日: 2007/08/27
- メディア: CD
1. Allegro Maestoso
★★★★★★★★☆☆
悲劇的で堂々とした哀愁漂う美しい旋律をピアノがソロで奏で、同じメロディをヴァイオリンが奏でる。第二主題は伸びやかで壮大な雰囲気となる。対話的で内省的な展開部も綺麗。
2. Andantino
★★★★★★★★☆☆
息の長い穏やかで心安らぐメロディを悠々とヴァイオリンが奏でる。チェロも入ってくる場面はとても美しい。ピアノが少し悲しげな第二主題を奏でそれをチェロがそっと支える。ピッチカートの伴奏に乗ってピアノが新たな悲しげなメロディを奏でる。後半ヴァイオリン、チェロ、ピアノが順々にはじめのメロディを奏でていく場面はとても綺麗。最後はそっと眠りにつくかのように静かに美しく終わる。
3. Scherzo: Vivace
★★★★★★★☆☆☆
明るくスピード感のある楽章。ヴァイオリンとチェロが競争しているかのような感じ。
4. Rondo
★★★★★★★☆☆☆
簡潔ながら少し悲しげなメロディで始まる。少しゆったりとした堂々とした部分を挟み、簡潔な主題に戻る。少し明るく軽快な部分の後、再び簡潔な主題が奏でられる。暗く重い雰囲気になった後、しっとりと静かになる。遠くから何かが迫ってくるように緊迫した雰囲気となり、最後はかなりのスピード感を持って唐突に終わる。
全体的にメロディが綺麗で楽しい曲。