String Quartet In E Flat JS.184 [シベリウス 室内楽曲]
The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2
- 出版社/メーカー: Bis
- 発売日: 2007/08/27
- メディア: CD
1. Allegro
★★★★★☆☆☆☆☆
短い力強い前奏の後、期待感に満ちた躍動感のある第一主題が奏でられる。
第二主題は少し悲しげ。展開部は少し劇的な感じもあるが、基本は優雅。
最後主題に戻っているのかよくわからない。
2. Andante Molto
★★★★★☆☆☆☆☆
物悲しく、悲劇的な雰囲気。中盤はすこしゆったりとして優雅な感じ。スピードが上がり異国情緒漂う舞曲風の感じをはさみ、最後は悲劇的に終わる。
3. Scherzo : Allegretto
★★★★★☆☆☆☆☆
悲しいワルツで始まる。中間部は少し華やかになる。
4. Vivace
★★★★★☆☆☆☆☆
開放感に満ちた始まり。少し優雅な部分を挟みながら曲は進む。
全体的に若々しさに溢れ、シベリウス独特の美しいメロディも聞けなくはないのだが、そこまできらめきは感じない。悪くはないが普通。
Scherzo Molto Moderato JS.134 [シベリウス 室内楽曲]
The Sibelius Edition: Chamber Music, Vol. 2
- 出版社/メーカー: Bis
- 発売日: 2007/08/27
- メディア: CD
評価
★★★★★★☆☆☆☆
静かな美しい前奏ではじまる。
春の爽やかさを感じさせる美しい第一主題。少し暗めの第二主題。
若干物悲しいものの、舞曲風の展開部がとても美しい。
最後は静かに終わる。
愛らしい曲。
しろいしろいえりまきのはなし [文学 日本 安房直子 さ行]
しろいしろいえりまきのはなし (小学館の創作童話 初級版 6)
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2023/06/03
- メディア: 単行本
いきなりおかあさんうさぎが泣いている場面からはじまる。
三匹のこどもの、末っ子の女の子がわなにかかって、人間に連れて行かれてしまったのだ。
長男が探しに行く、ということになり、一度しか使えない魔法、うさぎを人間に変える魔法を使い、彼を人間の姿に変えて送り出す。
少し行くと人間の家が見つかり、そばかすだらけの女の子が窓から顔を出している。
彼女に末っ子のゆくえをたずねると、自分の父親がもうすでに殺してしまい、えりまきにして売ってしまったという。
色々と話をしているうちに、男の子がうさぎだということが分かり、人間の世界にうんざりしていた女の子は自分をうさぎにして欲しいと一緒にうさぎの家へ帰ることにする。
家に帰って事情を知り、かなしむ母うさぎ。しかし人間の娘が代わりにうさぎになって娘になると聞き、少し気持ちを立て直し、長男をうさぎに戻そうとする。しかし一度しか魔法が使えないので、長男はうさぎに戻れない。
人間として生きていくしかなくなった長男をどうやって食べて行かせようか、と考え、母うさぎはすすきでえりまきを作る。作り方を長男と人間の子の娘に教え、二人はそれで大繁盛というはなし。
結構残酷な話なのに、最後は明るくハッピーエンド。
もう絶版の本で図書館でもあまり見つけられない理由がなんとなくわかる本ではあるが、それなりに面白かった。
白いおうむの森 [文学 日本 安房直子 さ行]
スダア宝石店というインド人が経営している店がある。入口には白いおうむがいて「こんにちは」と話しかけてくる。みずえという女の子と、その飼い猫ミーは、よく一緒にこのおうむを見に、スダア宝石店へ行っていた。みずえは、このおうむに、死んでしまった自分のお姉さんの名前を教え込もうとしていた。だれかが、「この世界にいる者で、死んだ人の国へいけるのは、鳥だけなのだ」と言っていたから、このおうむにお姉さんへの手紙を届けてもらおうと思っていたのだ。
そんなある日、店からおうむがいなくなってしまっていた。インド人に「おうむはどこにいるの?」とたずねると、インド人もみずえに「おうむはどこにいるの?」とたずねてくる。インド人はねこのミーがおうむを食べてしまったと思っていたのだ。
それから何日かしてねこのミーもいなくなり、インド人にさらわれたと思い込んだみずえは、スダア宝石店へと向かう。すると店の奥で猫の鳴き声がし、下へ向かう階段がある。ねこの鳴き声をおって階段をどんどん降りていくと、ミーがいた。そこでミーに話しかけると、おうむの声で、「こんにちは」と返してきた。すると闇の底がふっと明るくなり、そこにお姉さんがいると思ったみずえはさらに階段を下りていく。
大きな森へついたみずえは、そこで「夏子姉さん」に会う。夏子姉さんによると、みずえのおとうさんもおかあさんも、みずえにメッセージを伝えるためにおうむを飼っていたことを知る。そしてインド人も死んでしまった大事な人に何かを伝えるためにおうむを飼っていたんじゃないかと考える。
しかしこの森は鬼が来る恐ろしい場所らしい。本当は花が咲き誇る美しいところがあるのだが、そこに行くには導いてくれるおうむが必要らしい。おねえさんは、ミーに注目し、ミーに道案内をしてくるよう頼み、周りの人間もミーにたのもうとするが、あの世へミーが連れて行かれると思ったみずえは、ミーを連れて元の世界へ逃げ帰る。
スダア宝石店へ戻ると、インド人が待っていた。インド人も婚約者を亡くしていたことを知る。彼のためにミーを貸してあげ、ミーとインド人は階段を下りていく。そして彼らは二度と帰ってこない・・・。
かなり悲しい話であるが、希望を感じさせる心が温かくなる素敵な作品。次男もかなり気に入っていた。
白樺のテーブル [文学 日本 安房直子 さ行]
ある男の人が引越し祝いに、友人から「白樺のテーブル」をもらう。
彼は、「こんなしゃれた品物、ぼくにはにあわないよ」と断るが「こんな、コンクリートの壁にかこまれて暮らすんだから、せめてテーブルぐらい素朴なのを使って、森に行ったつもりにでもなるといいよ。」と言われ、使い始める。
初めは大事にしていたが、そのうちにあまり使わなくなり、物置台になってしまう。
そんなある日、びしょ濡れの女のコが現れ、「白樺のテーブル」を大事にするよう彼に伝える。そして彼女と会話を交わしているうちにいつの間にか森の中へいる自分に気がつく。
近代文明批判、自然を大切にすること、そしてなによりモノを大切にすることの、大切さを訴えたこの本。表紙同様、非常に地味な静的な作品だが、シンシンとした冷たい緊張感が漂う素晴らしい作品だ。
サンタクロースの星 [文学 日本 安房直子 さ行]
結構前に購入していたのだが、せっかくなのでクリスマス近くに読もうと思って読まずにいた本。
家にえんとつのない子供から、「家に入ってこられますか?」という手紙をもらったサンタクロースがそれに答える話。
安房直子さん特有のファンタジー的な回答がされていて良かったのだが、彼女のクリスマス・ストーリーということでかなり期待していただけに、若干残念な感じだった。しろくまとサンタクロースの若干心暖まる感じがなくはないが・・・。
2023年6月2日 再読
サンタクロースが、読者に話しかける形で始まる。
最近は、えんとつのない家が増えて、そういう家の子どもから、「ぼくのいえには、えんとつがひとつもないんです。それでもクリスマスには、ぼくのところにちゃんときてくれますか?」という手紙が届くということを紹介し、ポケットの中にある青い流れ星が、どんなドアも開けてくれることを紹介する。
そして、この青い流れ星とどのようにして出会ったのかが語られる。
ここからが本編。
プレゼントのしたくをするのに疲れてイライラしていたとき、トナカイが飛び込んできて、星がひとつ落ちてきたことを教えてくれる。その流れ星を追いかけると、しろくまへとたどり着く。流れ星はしろくまの耳の中へ入り込んでいる。するとその青い流れ星がしろくまの耳にあった扉を開けてしまう。サンタクロースも小さくなってその中へ。その中は暖かい空間で、ワインとギターと暖炉が用意されていた。しろくまの夢の世界でゆっくりしたあと、その青い流れ星を借り、サンタクロースはえんとつのない家へもプレゼントを配って回る。戻ったサンタはしろくまと友達になる。
やはりそこまで心に響かなかった。