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後宮からの逃走 [オペラ ドイツ モーツァルト]


モーツァルト 歌劇《後宮からの逃走》 [DVD]

モーツァルト 歌劇《後宮からの逃走》 [DVD]

  • 出版社/メーカー: クリエイティヴ・コア
  • 発売日: 2010/01/20
  • メディア: DVD




ストーリー:★★★★★☆☆☆☆☆
アリア  :★★★★★★★★☆☆
音楽全体 :★★★★★★★★☆☆

トルコの後宮にとらわれてしまったスペイン貴族の娘を、その恋人であるスペイン貴族の子息が助けに行く物語。女性の貞淑と偉いものの慈悲がテーマで、モーツァルトはこの二つが好きなのであろう。正直ストーリーはくだらないが、「どんな責め苦に合おうとも」というソプラノのアリア、「お前の力が、頼りだ」というテノールのアリアなど美しいアリアは満載。モーツァルトらしい優美で美しい音楽も楽しめる。セリフっぽいところも多く、初心者には楽しめるオペラなのではないだろうか。

ヒロイン役のエヴァ・メイ、その次女チョーフィー、と私の好きなソプラノが二人出ているという意味でもこのDVDは観やすく面白かった。
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ブロデックの報告書 [文学 フランス]


ブロデックの報告書

ブロデックの報告書

  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2009/01/08
  • メディア: 単行本



日本で入手可能な、フィリップ・クローデルの本で、私が読んでいなかった最後の本。
ある寒々しい村で起こった殺人事件の詳細を記録するように、主人公であり語り手であるブロデックが頼まれるところから物語は始まる。

物語が進むにつれて、ブロデックは強制収容所の生き残りであること、この寒村はかつて侵略者に支配されてしまうような感じになったことがあること。その支配者に逆らったものがたどった道、ブロデックの青春時代、恋人との出会い結婚、そして妻が巻き込まれた事件・・・。

とにかく、淡々とした中に非常に厳しい事象が入っている。人間の身勝手さ、周りに流されることで、つまり歯車の中に巻き込まれたと自分を納得することで、非人道的行為を正当化する愚かしさ、とにかく人間の弱い部分が、色々な正当化をされながら語れていく。

常にモヤのかかった感じだが、全ては明瞭に語られていく。

明らかにナチス・ドイツを意識した描写であり、そのナチス・ドイツの台頭を許したのが、我々の心なのだということを、静かにつきつけている書である。

非常に美しい作品だった。

p.75
「自分が残してきたものについてはよく覚えているものだが、戻ったときに何と再開するかはわからないからね。人々が長いこと狂気にとらわれていたときにはとくにそうだ。」

浦島太郎を彷彿とさせる意味の深い言葉。

p.169
「本当は、群衆こそが怪物なのだ。それは、意識のあるほかの無数の肉体からなる巨大なひとつの肉体となって自らを産み落とす。そして、僕は幸福な群衆などないことも知っている。穏健な群衆は存在しない。笑い、ほほえみ、リフレインの背後にさえ、湧き立つ血が、騒ぐ血が、おのずと回転し、その自分自身の渦の中で撹乱されて狂気へと赴く血があるのだ。」

この言葉にこの本の全てが凝縮されているとも言って良い群衆批判の言葉。

p.173
「勝つのはいつもムチだってことをわすれちゃいけないよ、ブロデック、知識なんかじゃないんだ。」

だからこそ、どんなに戦争の悲惨さを訴えても戦争はなくならない。もっと理性的に平和について、戦争について考えなければいけないのではないだろうか。

p.287
「殺しに手を染める者は、相手が動物であれ、人間であれ、自分の行為について冷静に考えることはほとんどない。」

p.298
「どちらが正しいのか、過ぎ去った時を闇に捨てないと心に決めた人と、自分に都合の悪いことはみな暗闇に沈めてしまう人とでは?」

後者のほうが幸せであることは間違いない・・・。
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ロスチャイルド家のヴァイオリン [ショスタコーヴィチ オペラ・カンタータ]

ショスタコーヴィチの、ユダヤ人の弟子フレーイシュマンという人が作曲したオペラらしい。彼は死んでしまったのだが、彼のことを高く買っていたショスタコーヴィチが編曲したものらしい。
楽団のヴァイオリン弾きは、同じ楽団のユダヤ人フルート弾きを馬鹿にしていたらしいが、妻が死に自分も死ぬ間際になって、悔恨し、自分のヴァイオリンをこのユダヤ人フルート弾きに譲るという話らしい。

第一曲 You are off Key, 2nd Violin
★★★★☆☆☆☆☆☆
劇的に始まる。すぐに諧謔的な感じになり、バリトンが歌う。

第二曲 Are you playing
★★★☆☆☆☆☆☆☆
混沌とした感じで男たちが言葉を交わす。

第三曲 This town is worse than a village
★★★☆☆☆☆☆☆☆
酔っぱらいのような声で、陰鬱なメロディが歌われる。

第四曲 Start Playing
★★★★☆☆☆☆☆☆
すこし調子っぱずれの滑稽さの前面に出た音楽。

第五曲 Do you remenber? Yakov
★★★★☆☆☆☆☆☆
メゾ・ソプラノが優しく歌いかける。伴奏は諧謔的。

第六曲 God had given us little blond girl
★★★★☆☆☆☆☆☆
メゾとバリトンの対話。

第七曲 Make the trumpet Merrier
★★★★☆☆☆☆☆☆
諧謔的な伴奏に乗り、テノールが語り調で歌う。

第八曲 Down here on Earth Everything files by so fast!
★★★★☆☆☆☆☆☆
少し叙情的なメロディがバリトンによって静かに歌われる。後半テノールとバリトンの二重唱となる。

第九曲 Rothchild Freezes
★★★☆☆☆☆☆☆☆
劇的な音楽。

第十曲 One coffin For Marfa Ivanova
★★★★☆☆☆☆☆☆
主人公の妻が死んだ場面か?少し悲しげなやさしいメロディ。

第十一曲 If Men could live without hatred and evil
★★★★☆☆☆☆☆☆
穏やかで内省的なメロディをバリトンが歌う。後半もがき苦しみ出す。

第十二曲 It's better to die
★★★☆☆☆☆☆☆☆
混沌とした音楽。

第十三曲 Be kind to me, Don't Hit Me!
★★★★☆☆☆☆☆☆
物悲しいメロディをヴァイオリンが奏で後ろで二人の男が会話する。

第十四曲 Rothchild Starts playing the violin
★★★★☆☆☆☆☆☆
優美だけどどこか悲しげなメロディをヴァイオリンが奏でる。後半にかけて悲劇的に盛り上がって行き、最後は大音量で終わる。

劇と一緒に聴くと良いのかもしれないが正直つまらない。


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Op.097a 組曲「馬あぶ」 [ショスタコーヴィチ 交響詩]

19世紀、オーストリアに占領されていたイタリアが舞台。「馬あぶ」とは、イタリア独立運動のリーダー、アルトゥールのことらしい。彼は若い頃、仲間を裏切ったり、恋人に振られたり、育ての親だと思っていた聖職者が実の父親であることを知ったり、と色々大変なことを経験し、イタリアを去る。その後独立運動に復帰するが、敵に捉えられ銃殺される。

01 Overture
★★★★★★☆☆☆☆
かなり深刻な雰囲気で始まる。最後は若干悠々とした感じで終わる。数分程度の短い序曲。

02 Contradance
★★★★★★☆☆☆☆
バロック音楽を感じさせる美しくも哀愁漂う美しい舞曲。

03 Folk Feast
★★★★★★☆☆☆☆
軽やかで元気な曲。楽しげな様子が良く伝わってくる。

04 Interlude
★★★★★★☆☆☆☆
不気味な始まり。これからの悲劇を暗示しているような曲。

05 Waltz - Barrel Organ
★★★★★★★☆☆☆
鳥の声を模したような音で始まり、優雅で美しいワルツとなる。

06 Galop
★★★★★☆☆☆☆☆
軽やかな跳ねるような曲。

07 Intorduction
★★★★★★★☆☆☆
ハープのアルペジオ伴奏に乗って、美しい息の長い旋律が奏でられる。うっとりさせられる曲。

08 Romance
★★★★★★★★☆☆
全曲に引き続き非常に美しいメロディの哀愁漂う曲。

09 Intermezzo
★★★★★★★☆☆☆
物事を達観したような静かな音楽。静かで美しい旋律が続く。

10 Nocturne
★★★★★★★☆☆☆
悲劇的な前奏後、ヴァイオリンが物悲しい旋律を奏でる。中間部は少し明るく前向き。

11 Scene
★★★★★★★★☆☆
「白鳥の湖」を彷彿とさせる、壮大で悲しげで哀愁漂う美しい曲。

12 Finale
★★★★★★★☆☆☆
悲劇的で悠々としたフィナーレにふさわしい曲。若干最後が尻つぼみか・・・。

チャイコフスキーのバレエ組曲に劣らない素晴らしい名曲だと思う。

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Op.096 祝典序曲 [ショスタコーヴィチ 交響詩]

1947年10月革命30周年を記念して作曲されたらしいが発表されなかったらしい。

★★★★★★☆☆☆☆
華やかなファンファーレで始まる。
軽やかでスピード感のある主題が奏でられる。
その後伸びやかな旋律が弦によって奏でられる。
最後は華やかに終わる。

なんということもない曲だが確かに楽しく人気もあるらしい。

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あなたの人生の物語 [文学 アメリカ]


あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/09/30
  • メディア: Kindle版



同僚の先生に勧められて読んだ本。
短編集だが、タイトルとなっている作品が映画化されている。作者は、SF作家と位置づけられているらしい。

1.バビロンの塔
旧約聖書、神に近づくために高い高い塔を建てようとした人間たちの傲慢さに神が怒り、塔を壊し、お互いコミュニケーションがはかれないよう言葉をバラバラにしたというストーリーを小説化したもの。
高い高いバビロンの塔を築いていく過程で確かにこういうことがあるよな、ということをうまく表現している。最後にオチも絶品。

2.理解
植物状態から薬の投与によって生還したが、それによって人並み以上の知力を得てしまった人間の話。若干『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせる。テーマは人は自分をどれほど客観視できるかということなのだろう。『ゲーデル、エッシャー、バッハ:あるいは不思議の環』や『法律事務所』も彷彿とさせる色々な要素の詰まった作品。

ここまでは結構楽しく読めた。しかし
3.ゼロで割るはつまらなかった。
4.あなたの人生の物語
これがタイトルとなっているもので、宇宙人がやってきてその宇宙人の言葉を解読しようとしているうちに、物事の全体像を感知できるようになってしまった女性の話。予定説などもテーマになっており面白くはあるが、わかりづらい構成で、いまいち。

このあと結構つまらない作品が続く。

8.顔の美醜について
これはまあまあ面白かった。ルッキズムに対する意義を唱えた思考実験的作品。

やはり私はSFは肌に合わないと感じた。
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Op.082 映画音楽「ベルリン陥落」 [ショスタコーヴィチ 交響詩]

 1917年、ロシア革命の年に生まれた鉄工所に勤務するアレクセイは優秀な工場労働者。彼には婚約者で小学校教諭のナターシャがいたものの、1941年6月22日のナチス・ドイツの独ソ不可侵条約破棄による侵攻により、ナターシャはナチスに拉致される。
 アレクセイはソビエト連邦赤軍に入隊。ヒトラーが服毒自殺を遂げ、陥落したベルリンで、アレクセイはナターシャと再会を果たし、スターリン首相の到着するベルリン飛行場へ飛び立つ。スターリン首相の前に歩み出るアレクセイとナターシャ。ナターシャはスターリンの前に赴き、手に接吻を受ける。

01 Prelude
★★★★★★★☆☆☆
力強いファンファーレで始まる。壮大で哀愁漂う美しいメロディ。

02 Riverside Scene
★★★★★★★☆☆☆
優雅で優美なおっとりとしたメロディで始まる。だんだんと盛り上がる。

03 Attack
★★★★★★☆☆☆☆
勝利感に満ちた堂々とした1分強の曲。

04 In the Garden
★★★★★★★☆☆☆
美しくゆったりとしたメロディで始まる。ヴォカリーズによる牧歌的で美しい合唱となる。

05 Storming of the Sleelov Heights
★★★★★★☆☆☆☆
まさに嵐が吹き荒れる感じ。パーカッションの音も鳴り響き悲劇的になっていく。悲劇的な音楽が続くが、最後は華やかに壮大に終わる。

06 In the destroyed Village
★★★★★★☆☆☆☆
暗く重く始まる。悲劇的で悲しげな旋律が続く。

07 Scene in the underground
★★★★★★☆☆☆☆
力強く劇的な音楽。

08 Finale
★★★★★★☆☆☆☆
力強いファンファーレで始まり、激しいドラムの音が鳴り響き、雄大な音楽と変化していく。

結構優美なメロディの多い聴きやすい映画音楽。
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Op.064 映画音楽「ゾーヤ」 [ショスタコーヴィチ 交響詩]

1941年、ドイツ軍がモスクワへと迫るなか、非正規軍に18歳で志願し、ドイツ軍が占領している村を焼き払ってドイツ兵を追い出そうとしたものの、最終的には捕まり、拷問され、絞首刑になった女性、ゾーヤ・コスモデミヤンスカヤの物語らしい。

01 Soja
★★★★★★☆☆☆☆
少し暗めのファンファーレで始まる。だんだんと太陽が登ってくるかのように明るくなっていき、合唱がさわやかな朝を告げるかのようなヴォカリーズで歌う。オケだけに壮大で田舎風の音楽となる。
少し落ち着いて優雅な田園風景を模したかのような音楽となる。再び壮大に盛り上がるが最後は静かに終わる。

02 Military Problem
★★★★★★☆☆☆☆
少し不穏な空気が流れるが、すぐに穏やかで美しいメロディとなる。後半は悲劇的に盛り上がって終わる。

03 Tragedy Of a Loss
★★★★★★☆☆☆☆
静かでゆったりとした悲しげなメロディが流れる。だんだんと暗く重く鎮魂歌風になっていく。最後はゆったりとした悲しげなメロディが回帰され終わる。

04 Here's Victory
★★★★★★★☆☆☆
華やかなファンファーレ風の始まり。祝祭感満点の心躍る曲。

05 Finale (Heroin's Immortality)
★★★★★★☆☆☆☆
穏やかでさわやかな朝をイメージさせる美しい始まり。ヴァイオリンがソロで美しく息の長い旋律を奏でる。後半は牧歌的に優美になっていく。最後は壮大に終わる。

悪くない。
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